「人の名前で記憶する」観光|ルカ=クーサモに学ぶ関係性の観光戦略

本稿では、地域の人との対話や営みの共有を観光体験の中心に置く考え方を「関係性中心のサステナブルツーリズム」と呼びます。公的な制度名ではなく、本稿独自の整理です(出典記事:IDEAS FOR GOOD)。

最新のSDGsニュース: 沈まない太陽の下で、自然の時間を生きる(IDEAS FOR GOOD・2026年8月13日)

SDGsニュースの要約

IDEAS FOR GOOD 2026年8月13日の出典記事(西崎こずえ執筆)は、人口約1万5,000人のクーサモ町を含むルカ=クーサモ地域に、年間約100万人が訪れると伝えました。2024年の登録宿泊数は547,300泊、国内68%です(Ruka-Kuusamo公式統計)。長期的な取り組みの基点は1993年の環境宣言で、現在のサステナブル・トラベル・プランは年次更新です。地域全体はSustainable Travel Finland(STF)プログラムに参加し、地域としてのSTFラベル取得を目指す段階です。一方、Ruka Ski ResortとPyhä Ski Resortは2020年7月にSTFラベルを取得しました。Ruka Ski Resortの2018年のScope 1・2カーボンニュートラルは、化石燃料由来排出のオフセットを含みました。現行公式は法改正後、オフセットを同目標の正式手段と認めません。現行基準と同義ではなく、Scope 3は削減取組段階です。Metsähallitusの2025年訪問統計では、オウランカ国立公園は170,400回でした(出典記事:IDEAS FOR GOODRuka-Kuusamo公式ページRuka公式発表Ruka Ski Resort公式環境責任ページMetsähallitus公式統計)。

なお、出典記事は54万5,000泊・国内72%と記載していますが、本稿は現行公式統計を採用します。

SDGsニュースのポイント

  • クーサモ町の人口は約1万5,000人で、同町を含む地域への年間来訪は約100万人
  • 2024年の登録宿泊数は547,300泊、国内比率68%(Ruka-Kuusamo公式統計
  • 1993年の環境宣言を基点に、長期的に持続可能な観光を推進
  • 現在のサステナブル・トラベル・プランは年次更新
  • 地域全体はSustainable Travel Finland(STF)プログラムに参加し、地域としてのSTFラベル取得を目指す段階
  • Ruka Ski ResortはPyhä Ski Resortとともに2020年7月にSTFラベルを取得
  • 2018年のRuka Ski ResortのScope 1・2カーボンニュートラルは化石燃料由来排出のオフセットを含む。現行公式は法改正後、同手段を正式な達成手段と認めず、現行基準と同義ではない。Scope 3は削減段階(出典:Ruka Ski Resort公式環境責任ページ

SDGsニュースを考察

まず注目したいのは、長期の土台と、毎年の見直しを混同しない運用です。1993年の環境宣言以来の取り組みを土台に、現在の計画は毎年更新されています。日本でも、長期の観光地運営と年度ごとの見直しを分け、自治体・観光協会・事業者が継続的に話し合う仕組みを検討できます。持続可能な都市づくり(SDGs11.3)とも接続する視点です(出典:Ruka-Kuusamo公式ページ)。

第二の論点は、本稿独自の「関係性中心」という整理を、受け入れ規模の検討に使うことです。原記事筆者は、体験の多くが少人数向けで、10〜20名ほどなら交流しやすいとの所感を示します。一方、ピュハピーロ・サウナワールドの最大受入人数は40名です。前者は筆者所感、後者は施設定員で、指標が異なります。日本の地域中小企業のサステナビリティでも、担い手起点で人数と価格を考える材料になります(出典記事:IDEAS FOR GOOD)。

第三は、対象範囲と達成手段の明示です。Ruka Ski Resortの2018年のScope 1・2カーボンニュートラルは、化石燃料由来排出のオフセットを含みました。現行公式は法改正後、同手段をカーボンニュートラル目標の正式な達成手段と認めておらず、現行基準と同義ではありません。カーボンニュートラルを伝える際は、年・範囲・手段・現在の位置づけを併記します。地域文化を尊重する視点も欠かせません(出典:Ruka Ski Resort公式環境責任ページ)。

私たちにできること

第一に、地域の「担い手」を主人公にした情報発信を試す: 本人の同意を得て公開範囲を確認し、撤回にも応じて地域住民の名前と物語を扱います。ステークホルダーエンゲージメントを発信の土台にします。

次に、通年型の観光カレンダーを組む: サステナビリティ経営の年間計画に、四季の担い手・体験・食と閑散期対策を組み込みます。

最後に、環境・文化・社会・経済の4軸で成果を測る: 来訪者数と売上に加え、CO2排出や住民満足度などのKPIを整理します。Ruka-Kuusamo公式ページの4軸を指標設計の出発点にできます(出典:Ruka-Kuusamo公式ページ)。

締め

観光は関係の場です。ルカ=クーサモを手がかりに、担い手中心の通年型戦略を描けます。