SDGs・脱炭素の用語

【用語解説】サステナブルファッション入門:概要からSDGsゴールまで徹底解説

編集部の菊尾
編集部の菊尾
サステナブルファッションは、環境と社会に配慮しながら、ファッション業界のサステナブルな発展を実現する鍵となる取り組みです。

サステナブルファッションの概要

サステナブルファッションとは、環境や社会に配慮した持続可能なファッションのことを指します。従来のファッション産業では、大量生産・大量消費・大量廃棄という線形経済モデルが主流でしたが、サステナブルファッションは資源の効率的利用、再生可能エネルギーの活用、公正な労働環境の確保など、循環型経済モデルへの移行を目指しています。

SDGsゴールとターゲット

対象のSDGsゴールとターゲット

サステナブルファッションは、以下のSDGsゴールとターゲットに貢献します。

- ゴール12(つくる責任、つかう責任):持続可能な生産消費形態を確保する

- ターゲット12.2 天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する
- ターゲット12.5 廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する

- ゴール13(気候変動に具体的な対策を):気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

- ターゲット13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する

- ゴール8(働きがいも経済成長も):包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する

- ターゲット8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る
- ターゲット8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する

企業への影響

サステナブルファッションへの取り組みは、企業にとって以下のようなメリットがあります。

1. 環境負荷の低減:資源の効率的利用や再生可能エネルギーの活用により、環境負荷を低減できます。
2. 社会的責任の遂行:公正な労働環境の確保や地域社会への貢献により、企業の社会的責任を果たすことができます。
3. ブランドイメージの向上:サステナビリティへの取り組みは、消費者からの信頼や支持を得ることにつながります。
4. 新たなビジネスチャンスの創出:サステナブルな製品やサービスの開発により、新たな市場を開拓できます。

一方で、サステナブルファッションへの移行には、サプライチェーンの見直しや設備投資などのコストがかかるため、中小企業にとっては課題となる場合もあります。しかし、長期的な視点に立てば、サステナブルファッションへの取り組みは企業の持続的成長に不可欠だと言えるでしょう。

主な事例

1. パタゴニア:

米国のアウトドアブランドであるパタゴニアは、環境保護と社会貢献を重視した経営で知られています。オーガニックコットンやリサイクルポリエステルなどの環境配慮素材を使用し、製品の長寿命化を図っています。また、売上の1%を環境保護団体に寄付する「1% for the Planet」の創設メンバーでもあります。

2. ステラ・マッカートニー:

英国のファッションブランド、ステラ・マッカートニーは、動物由来の素材を一切使用せず、オーガニックコットンやリサイクルナイロンなどの持続可能な素材を採用しています。また、サプライチェーンにおける労働者の権利保護にも積極的に取り組んでいます。

3. ラファエロ:

ファッション業界で初のジャパンSDGsアワード外務大臣賞を受賞した株式会社FrankPRが運営する日本の革製品ブランド、ラファエロは、バングラデシュの工房と提携し、現地の女性や障がい者の雇用を促進しています。また、宗教儀式で使われた牛革を再利用することで、資源の有効活用と廃棄物削減に貢献しています。ラファエロの活動は、ジェンダー平等や不平等の是正、循環型経済の実現など、多岐にわたるSDGsゴールの達成に寄与しています。

まとめ

サステナブルファッションは、環境と社会に配慮した持続可能なファッションのあり方を追求する取り組みです。SDGsの達成に向けて、ファッション業界が果たすべき役割は大きく、先進企業の事例からも、その重要性が理解できます。今後は、大企業だけでなく、中小企業も含めた業界全体でサステナブルファッションを推進していくことが求められます。消費者一人ひとりがサステナブルな選択を心がけることも、持続可能な社会の実現に欠かせません。

編集部の菊尾
編集部の菊尾
【投稿者情報】ファッション業界として史上初の外務省ジャパンSDGsアワードを受賞した株式会社FrankPRのスタッフの菊尾です。2024年現在、日本で5社しかいない外務省と環境省のSDGsアワード受賞社長である松尾真希から直接学んできた人材不足や資金不足でもできる経営実践型の脱炭素やサステナビリティの知識を生かしてお役に立てる記事を執筆してまいります