SDGs・脱炭素の用語

【用語解説】食品ロス問題の現状と企業の挑戦 – SDGsの観点から考える

概要

食品ロスの概要

食品ロスとは、本来食べられるにも関わらず廃棄される食品のことを指します。日本では年間612万トンもの食品ロスが発生しており、その半分以上が家庭から出ているという統計もあります。食品ロスは、食料資源の無駄だけでなく、環境負荷や経済的損失など様々な問題を引き起こしています。

SDGsゴールとターゲット

対象のSDGsゴールとターゲット

食品ロスは、以下のSDGsゴールとターゲットに貢献します。

ゴール12:つくる責任 つかう責任


ターゲット12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

ゴール2:飢餓をゼロに


ターゲット2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

ターゲット2.2 5歳未満の子供の発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。

ターゲット2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。

ゴール13「気候変動に具体的な対策を」

企業への影響

食品ロス削減は、企業にとってコスト削減や環境負荷の低減につながります。

また、食品ロス削減への取り組みは、企業イメージの向上や消費者の信頼獲得にもつながります。一方で、売れ残りや返品などによる食品ロスは、企業にとって大きな損失となっています。食品ロス削減は、企業の持続可能性を高める上で欠かせない課題と言えるでしょう。

主な事例

1.セブン&アイ

販売期限間近の商品にポイントを付与するアプリ「SEVEN MILE PROGRAM」を導入し、食品ロス削減と顧客満足度の向上を両立しています。

2.ニチレイ

冷凍技術を活用して食品の長期保存を可能にし、食品ロスの削減に貢献しています。また、賞味期限が近い商品を活用したメニュー提案なども行っています。

3.イオン

小売店での「てまえどり」の推奨や、食品ロス削減につながる商品の開発・販売に力を入れています。また、フードバンクへの寄付など、地域と連携した取り組みも進めています。

まとめ

食品ロス削減は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の達成に直結する重要な課題です。

企業には、需要予測の高度化や製造工程の改善、フードバンクとの連携など、様々な取り組みが求められます。私たち消費者も、計画的な購買や適量調理、余剰食品の有効活用などを通じて、食品ロス削減に貢献することができます。企業と消費者が協働し、食品ロスの問題に真摯に向き合うことが、持続可能な社会の実現につながるのです。