SDGs・脱炭素の用語

【用語解説】インパクト投資とは?社会課題解決と経済的リターンを両立する新しい投資手法

インパクト投資の概要

インパクト投資とは、社会や環境問題の解決に貢献しながら、同時に経済的リターンも追求する投資手法です。従来の投資は主に財務的リターンを重視してきましたが、インパクト投資ではリスク・リターン・インパクトの三次元で投資判断を行います。ここでいう「インパクト」とは、投資によってもたらされるポジティブな社会的・環境的変化を指します。

インパクト投資には4つの要素があります。1つ目は意図性で、社会・環境課題の解決に貢献する明確な意図を持つこと。2つ目は経済的リターンの追求。3つ目は多様なアセットクラスへの適用可能性。そして4つ目が社会的インパクト評価の実施です。投資家は事前に目標とするインパクトを設定し、投資後はその達成度合いを定量的・定性的に測定・評価します。

企業への影響

SDGsの達成には年間最大7兆ドルもの資金が必要と言われる中、インパクト投資は企業にとって新たな資金調達の選択肢となります。社会的インパクトの創出を通じて企業価値を高められるほか、長期的視点に立った事業運営が可能になります。

また、ミレニアル世代を中心に社会課題解決への関心が高まる中、インパクト投資に積極的な企業は優秀な人材の獲得や顧客ロイヤルティの向上につながるでしょう。金融機関にとっても、インパクト投資は新たな収益機会であり、SDGs達成への貢献を通じて企業イメージの向上が期待できます。

主な事例

日本でもインパクト投資の事例が増えつつあります。一例が日本生命保険の取り組みです。同社は2021年度、脱炭素ベンチャー投資ファンドと脱炭素ファンドオブファンズにインパクト投資を実施。気候変動対策に取り組むスタートアップ企業への資金提供を通じて、ポジティブなインパクト創出を目指しています。

まとめ

社会的課題の解決と経済的利益の両立を目指すインパクト投資は、SDGs達成に向けた有効な手段として注目を集めています。課題も残るものの、企業価値向上や優秀な人材獲得など、企業にもたらすメリットは大きいでしょう。今後、インパクト投資への理解が広がり、より多くの企業が参画することで、よりよい社会の実現につながることが期待されます。