SDGs・脱炭素の用語

【用語解説】強制労働とは?企業が知っておくべき人権リスクと対策

概要

強制労働の概要

強制労働とは、暴行や脅迫、監禁などにより、本人の意思に反して働かせることを指します。ILOの定義では、「罰則の脅威にさらされている人から強制されたすべての仕事またはサービスで、その人が自発的に自分自身を提供しなかったもの」とされています。世界では約2,490万人が強制労働の犠牲になっていると推定され、深刻な人権問題となっています。

SDGsゴールとターゲット

ゴール8「働きがいも経済成長も」


ターゲット8.7「2025年までに児童労働を撲滅すると共に、強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を撲滅することを確保する。また最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。」

ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」


ターゲット5.2「人身売買や性的、その他の種類の搾取など、全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の暴力を排除する。」

ゴール10「人や国の不平等をなくそう」


ターゲット10.7「計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。」

 

企業への影響

強制労働は、労働者の基本的人権を侵害するだけでなく、企業にとっても大きなリスクとなります。

強制労働への対応が不十分だと、NGOやメディアから批判を受けるレピュテーションリスクや、法令違反による処罰リスクが高まります。また、米国では、ウイグル強制労働防止法により、中国・新疆ウイグル自治区の製品は強制労働によって製造されたと推定して輸入を禁止する措置が取られるなど、法規制も強化されつつあります。

主な事例

1.株式会社FrankPR:

運営する革製品ブランド「ラファエロ」では、バングラデシュの工房と直接取引することで、製造過程の透明性を確保し、シングルマザーや障がい者の雇用を通じて強制労働のリスクを低減しています。

2.トヨタ自動車:

外国人技能実習生をめぐる人権デューデリジェンスの取り組み事例を紹介するなど、サプライチェーン上の強制労働リスクに先進的に取り組んでいます。

3.パタゴニア:

サプライチェーン上の労働環境モニタリングを強化し、強制労働の兆候が見られた場合は、サプライヤーと協力して是正に取り組んでいます。また、第三者監査や現地ステークホルダーとの対話を通じて、リスクの特定と防止に努めています。

まとめ

強制労働は、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」の達成を阻む重大な障壁です。

企業には、サプライチェーン全体で強制労働のリスクを評価し、防止・是正するための取り組みが求められます。先進企業の事例からは、現地ステークホルダーとの協働や透明性の確保が重要であることがわかります。私たち消費者も、企業の取り組みを応援し、エシカル消費を通じて強制労働のない社会づくりに貢献することができます。一人ひとりの意識と行動が、持続可能な世界への一歩となるのです。