日本の革が示す「真のサステナビリティ」とは?

日本の革が示す「真のサステナビリティ」とは?

前編では、革製品にまつわる誤解を解き、国際的なサステナビリティ基準が抱える課題、そして日本の皮革産業が独自の認証制度「JLIAサステナブル企業認証」を立ち上げた熱い想いをご紹介しました。

後編では、この新しい“ものさし”の具体的な中身に迫ります。これを知れば、あなたの革製品選びは、もっと確かな、未来への投資に変わるはずです。


日本の革が示す「真のサステナビリティ」とは?
目次

1. 環境だけじゃない。「ESG」を網羅する日本の本気度

FrankPR 松尾: 新しい認証「JLIAサステナブル企業認証」の核心について教えてください。どのような点がユニークなのでしょうか?

JLIA 島岡課長: 最大の特長は、環境(Environment)だけでなく、人権・労働問題といった社会(Social)、そして企業統治(Governance)という、いわゆるESGの観点をすべて網羅している点です。

FrankPR 松尾: ESG全体をカバーしているのですね。ラナプラザの崩落事故をきっかけに、アパレル業界では労働環境への意識が大きく変わりました。私たちがバングラデシュで女性の雇用にこだわるのも、それが地域の貧困解決や子供たちの教育に繋がると信じているからです。社会(S)の側面は非常に重要ですね。

JLIA 吉村事務局長: はい。日本の皮革産業も、歴史的に人権問題と無縁ではありませんでした。だからこそ、私たちも「働きがいのある労働環境」といった項目を非常に重視しています。もちろん、排水や廃棄物の適正な処理といった環境面の厳しい基準もクリアしなければなりません。これらを包括的に評価することで、その企業が真にサステナブルな経営を行っているかを証明します。


2. 安全性の土台。「日本エコレザー認定」という20年来の約束

「JLIAサステナブル企業認証」の前提条件として、もう一つの重要な基準があります。それが、JLIAが20年以上前から運用する**「日本エコレザー認定(JEL)」**です。

  • JEL(Japan Eco Leather): 主に製品の安全性を担保する基準。
  • 役割: アレルギーや発がん性のリスクがある化学物質を厳しく制限。

JLIA 吉村事務局長: 海外の「エコテックス®」などは分析項目が非常に多く、革の製造では使わないものまで含まれるため高コストになりがちです。私たちは20年以上のデータ蓄積から、本当に必要な項目に絞り、実用的かつ厳格な基準を維持してきました。

「企業の姿勢(企業認証)」と「製品の信頼性(エコレザー認定)」。

この両輪が揃って初めて、日本の皮革業界の信頼性が確立されるのです。


3. 「クロムなめし=悪」は本当? 科学の目で見る事実

FrankPR 松尾: 消費者から「サステナブルなのにクロムなめしなのですか?」と問われることがあります。この点についてはどうお考えですか?

JLIA 吉村事務局長: それは非常に多い誤解です。

  1. 3価クロムの安全性: 革の製造に使うのは「3価クロム」です。毒性はなく、サプリメントや化粧品にも使われる必須ミネラルの一種です。
  2. 適切な管理: 問題となる「6価クロム」は通常の工程では使用しません。また、排水に含まれる3価クロムも、日本のタンナーは高度な施設で適切に除去しています。
  3. LCA(ライフサイクルアセスメント)の視点: 植物由来の「タンニンなめし」は、実は薬品使用量が多く、処理時間も長いため、一概に「環境に優しい」とは言い切れません。

「植物性=善」というイメージだけで判断するのではなく、用途や目的に応じて科学的根拠に基づき選択することが重要です。JELでは、基準を満たせばクロムなめし革も認定対象となります。


4. 私たちの選択が、未来を変える

FrankPR 松尾: この認証が広まることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

企業・消費者のメリット

対象メリット
企業国内外のバイヤーに対し、自社の取り組みを明確にアピールできる。
消費者安心してエコロジーな革製品を選べる、分かりやすい「目印」になる。

JLIA 吉村事務局長: 革の最大の魅力は、「丈夫で長持ちし、経年変化で味が出る」ことです。大切に使えば10年、20年と人生に寄り添ってくれる。これほどサステナブルな素材はありません。

ぜひこの認証ロゴを目印に、日本の職人が誇りを持って作った製品を選んでください。その一票が、日本のものづくり文化を未来へと繋ぎます。


編集後記:未来への道しるべ

「安いものを次々と買い替える」時代から、「良いものを、背景を理解し、長く大切に使う」時代へ。

JLIAが作った新しい“ものさし”は、私たちが心豊かに未来を選択するための、確かな道しるべとなるでしょう。

次にあなたが革製品を手に取るとき、その背景にある物語を少しだけ想像してみてください。きっと、その製品がもっと愛おしく感じられるはずです。

吉岡様、JLIAの皆様、ご親切にありがとうございました!

日本の革が示す「真のサステナビリティ」とは?

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日野広大

編集長日野

日野広大(ひの こうだい)
「脱炭素とSDGsの知恵袋」編集長。ジャパンSDGsアワード外務大臣賞を受賞した株式会社FrankPRのサステナビリティコンサルタント、気候変動コミュニケーター。
専門は脱炭素経営、サーキュラーエコノミー、SDGsの企業経営への統合。学生時代のボランティアを機に環境問題に目覚め、現在は編集長として、科学的根拠と実用性を両立した情報発信を行う。
複雑なテーマを、データと自身の経験に基づいた身近な解説で「初めて理解できた」と読者から高い評価を得ている。単なる問題提起に留まらず、読者が「今日からできるアクション」を見つけられる、具体的で希望の持てる解決策を伝えることを信条とする。

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