SDGsの知恵袋編集部の菊尾です。
今日も下記の最新の脱炭素やSDGsのニュース記事について考察と意見をお伝えします。
欧州連合は、航空分野におけるCO2以外の温室効果ガス対策を加速させています。2025年1月から、航空会社に対し、CO2だけでなく窒素酸化物やすす、水蒸気の気候変動への影響も追跡し報告することを義務付ける計画です。
Contents
今回解説する脱炭素・SDGsニュース:欧州でCO2以外の温室効果ガス対策も加速。航空会社の報告を義務化へ
ニュースの内容
欧州ではCO2以外の温室効果ガス対策が加速し、航空会社に報告義務化の計画がある。飛行機雲が地球温暖化に与える影響が指摘され、欧州連合は2025年から航空会社に二酸化炭素だけでなく窒素酸化物、すす、水蒸気の影響を報告させる予定。航空業界は提案に分かれており、国際航空運送協会は監視の困難さを指摘し、格安航空会社は全フライトを対象にすべきだと主張している。
SDGsニュースの主な要点
- 航空による地球温暖化への影響の約35%は飛行機雲が原因
- 欧州連合は2025年1月から航空会社にCO2以外の温室効果ガスの報告を義務化する計画
- 対象は窒素酸化物、すす、水蒸気の気候変動への影響
- 当初は欧州経済領域とスイス・英国のフライトに限定、国際線は2年間免除
「SDGsの知恵袋の編集部」の考察と意見
欧州連合(EU)が航空会社に対して、CO2以外の温室効果ガス排出量の報告義務化を検討しているというニュースがありました。この動きは、航空業界の気候変動対策を大きく前進させる可能性を秘めています。
2022年のIPCC報告書では、航空による地球温暖化への影響の約35%が飛行機雲によるものだと指摘されています。飛行機雲は、航空機の排気ガスに含まれる水蒸気が上空で氷の粒になることで形成され、地球の熱を閉じ込める働きをします。つまり、CO2だけでなく、すすや窒素酸化物など他の温室効果ガスへの対策も急務です。
EUの計画では、2025年1月から欧州経済領域とスイス・英国の航空便について、CO2以外の排出量の報告を義務付けるとのこと。当初は域外の国際線は2年間免除されますが、一部の格安航空会社は長距離国際線も含めるべきだと主張しています。
一方、国際航空運送協会(IATA)は技術的な課題から反対の立場をとっています。IATAのウォルシュ事務局長は、現時点でCO2以外の排出量を正確に監視することは不可能だと指摘し、EU外の国際線への適用拡大に懸念を示しました。
確かに、上空での化学反応は複雑で、CO2以外の温室効果ガスの影響を定量化するのは容易ではありません。しかし、サステナブルな社会の実現のためには、CO2に加えメタンや一酸化二窒素など他の温室効果ガスの削減も不可欠です。技術的なハードルはあるものの、航空業界を挙げて真摯に取り組む必要があるでしょう。
EUの動きは、各国・地域の規制当局や航空会社に大きな影響を与えると予想されます。グローバルに活動する航空業界だからこそ、CO2以外の温室効果ガス対策について世界全体で議論を進め、実効性のある削減策を講じていくことが求められます。日本の航空会社や関連企業も、脱炭素に向けた取り組みをさらに加速させることが期待されます。
我々企業にとっても、航空機利用に伴う温室効果ガスへの意識を新たにする必要がありそうです。社員の出張や物流など、事業活動のあらゆる場面でCO2以外の排出量も考慮に入れ、削減に努めることが求められる時代になったのかもしれません。一企業の取り組みは小さくとも、社会全体で温室効果ガス排出量の削減を目指すことが何より大切です。
脱炭素社会の実現に向けて、企業にはこれまで以上に高い意識と具体的なアクションが問われています。航空業界の動向を注視しつつ、自社にできることを一つ一つ実践していきたいですね。