[SDGsニュース]
【解説】timelesz篠塚さん「炎上ギャグ」の本質。SDGsで読み解く「未経験アイドル」と企業の責任
こんにちは、「脱炭素とSDGsの知恵袋」編集長の日野広大です。
11月18日放送の「めざましテレビ」で、人気アイドルグループtimelesz(タイムレス)の新メンバー、篠塚大輝さんが披露した一発ギャグが波紋を広げています。
童謡の替え歌に暴力的なジェスチャーを交えたその内容は、SNSを中心に「不適切」「笑えない」といった批判を浴びました。
一見、芸能ニュースの「炎上」に見えますが、実はこれ、企業の「人権感覚」と「人材育成(人的資本経営)」という、SDGs経営の根幹に関わる重要な教訓を含んでいます。
なぜこのギャグがNGだったのか、そして組織は新人をどう守るべきだったのか。SDGsの視点から紐解いていきましょう。
こんな人におすすめです
- 企業の人事・教育担当者の方
- 「なぜあのギャグが炎上したのか」論理的に知りたい方
- 組織のコンプライアンスやガバナンスに関心がある方
- 若手社員のマネジメントに悩んでいる方
記事 「動かない おじいさんにトドメ〜」 timelesz篠塚大輝《不謹慎ギャグ》炎上の”戦犯”は誰? オーディションコンテンツ発アイドルに感じた危うさ
1. 何が起きたのか? 3つの問題点
まずは事実関係を整理します。問題視されているのは主に以下の3点です。
① 内容の不適切さ(エイジズムと暴力)
篠塚さんは「大きな古時計」の替え歌で「おじいさんにトドメ~」と歌いながら殴る動作をしました。
SDGsの基本理念は「誰一人取り残さない」。特にゴール10「人や国の不平等をなくそう」やゴール16「平和と公正をすべての人に」の観点から見て、高齢者をターゲットにした暴力表現は、朝の情報番組として明らかに不適切でした。
② 知的財産権の軽視(パクリ問題)
このネタは、お笑い芸人・鼻矢印永井さんの持ちネタと酷似していました。本人が「パクられた」と反応したことで発覚しましたが、他者の知的財産(ネタ)を許可なく、しかも「自作」として使用することは、コンプライアンス(法令順守)の観点から大きなリスクがあります。
③ マネジメントの欠如(組織の責任)
篠塚さんは芸歴わずか9ヶ月の新人です。十分なメディアトレーニングを受けていない状態で生放送という高圧的な環境に置かれたことが、今回の事態を招いた最大の要因と考えられます。
2. 【日野が解説】「笑い」と「人権」の境界線
SDGsの時代、ユーモアにも「人権感覚」が求められます。
「誰も傷つけない」想像力
かつては許容された表現も、今は通用しません。記事にもある通り、timeleszはAOKIなど多くのCMに出演しており、スポンサー企業のブランドイメージを背負っています。
ステークホルダー(顧客、高齢者、取引先)への配慮を欠いた言動は、タレント自身のキャリアだけでなく、起用した企業の評価(ESG評価)をも下げてしまうリスクがあります。
権利へのリスペクト
今回、元ネタの芸人さんが寛大な対応をしたため大事には至りませんでしたが、本来であれば著作権侵害に準ずるトラブルです。
ビジネスにおいて他者のアイデアや成果物を尊重することは、SDGsゴール8「働きがいも経済成長も」やフェアトレードの精神に通じます。「バレなければいい」という意識は、組織全体のガバナンスを腐敗させます。
3. 企業が学ぶべき「人的資本経営」の教訓
私が今回最も注目したいのは、「新人のキャパシティを超えた業務配分」という組織の問題です。
新人を「守る」責務
記事によると、篠塚さんは歌やダンス未経験の大学生から、オーディションを経て一気に多忙な芸能生活に突入しました。
「新人が失敗するのは当然」ですが、「失敗してはいけない場所(全国ネットの生放送)」に、準備不足のまま送り出すことは、マネジメント側の安全配慮義務違反とも言えます。
これは一般企業でも同じです。
- 研修を終えていない新人に、重要顧客の対応を任せる
- メンタルヘルスケアをせずに、長時間労働を強いる
これらは「ブラック企業」的な体質であり、持続可能な組織運営とは言えません。SDGsゴール8には「安心・安全な労働環境」が含まれます。社員のスキルに見合った配置と、適切な教育(メディアリテラシー研修など)を行うことは、企業の義務です。
透明性と説明責任
また、大手メディアがこの件を報じないという「忖度」の構造も指摘されています。
不都合な真実を隠す体質は、SDGsゴール16「平和と公正をすべての人に」(透明性の高い制度)に反します。トラブルが起きたときこそ、真摯に向き合い説明責任を果たすことが、長期的な信頼につながります。
4. 私たちにできるアクション
今回の件は、私たちにとっても「他山の石」となります。
今日からできる3つのアクション
- 「想像力」を持つ: 自分の発言やジョークが、誰かを傷つけないか一瞬立ち止まって考える。
- 新人をサポートする: 職場に新人がいれば、「失敗させないための準備」を手伝う。失敗したら、個人の責任にするのではなく仕組みを見直す。
- 「推し」の企業姿勢を見る: 好きなタレントやブランドが、人権や労働環境に配慮しているか、ガバナンスの視点で応援する。
まとめ:失敗を「組織の成長」に変える
篠塚さん本人は懸命に努力しており、悪意があったわけではないでしょう。だからこそ、周囲のサポートが必要です。
「反省して次へ」で終わらせず、事務所やメディアが「なぜチェックできなかったのか」「教育体制はどうあるべきか」を再考する機会にできれば、それはサステナブルなエンターテインメントへの一歩になります。
誰かを傷つける笑いではなく、誰もが心から笑える未来を、一緒に作っていきましょう。

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