SDGsの知恵袋編集部の菊尾です。
今日も下記の最新のSDGsニュース記事について考察と意見をお伝えします。
エーザイは2023年12月にみずほ銀行とサステナビリティ・リンク・ローンで39社から500億円を調達。アルツハイマー治療薬「レカネマブ」の社会的価値を融資条件に設定、サステナブル金融の新たなモデルを提示。
タイトル:エーザイがESGで500億円調達 資本コスト低減へ社会的価値を訴求
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00159/020700221/
内容
エーザイは、みずほ銀行とサステナビリティ・リンク・ローン契約を結び、39社から総額500億円を調達。アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の普及による社会的価値を条件に設定。目標達成できなければ、認知症関連団体への寄付を約束。この資金は、低所得者向けの無償提供プログラムに使用され、サステナビリティの推進と資本コストの低減を図る。
SDGsニュースの主な要点
– エーザイは2023年12月にみずほ銀行とサステナビリティ・リンク・ローンで500億円を調達。
– アルツハイマー病治療薬「レカネマブ(レケンビ)」の社会的価値を融資条件に設定。
– レカネマブの社会的価値は患者の生産性改善や医療・介護費削減によって算出。
– 目標達成に失敗した場合、認知症関連団体への寄付が行われる。
– サステナビリティ・リンク・ローンの信頼性と透明性を格付投資情報センターの第三者意見で高める。
– 調達資金は低所得者向けのレカネマブ無償提供プログラムなどに使用。
– レカネマブは、米国と日本に続き、2024年1月に中国で承認。
– サステナビリティ・リンク・ローンは資金調達のコスト削減を目的としている。
– エーザイのPBRは2倍を超え、資本コストに対する意識が高い。
– サステナブル金融は、低コストでの資金調達の可能性を提供し、ESGを考慮した投融資選定の選択肢の一つになっている。
「SDGsの知恵袋の編集部」の考察と意見
エーザイの最近の動きは、サステナビリティと経済性を巧みに組み合わせた革新的なアプローチを示しています。2023年12月にみずほ銀行と結んだ「サステナビリティ・リンク・ローン」の契約を通じて、39社から総額500億円を調達したことは、ただの資金調達を超えた意義を持ちます。
このローンは、サステナビリティ目標の達成に直結しており、特にアルツハイマー病治療薬「レカネマブ(レケンビ)」の社会的インパクトを金額で評価し、その達成度によって融資条件が変動するというもの。この取り組みは、社会的価値の具体的な金額換算を通じて、医薬品の普及による社会への貢献を可視化します。
このようなサステナブル金融の活用は、企業の社会的責任(CSR)と持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを経済的メリットと直接結びつけ、企業が社会課題の解決に積極的に関与する新たな道を切り開いています。エーザイの例は、他の企業にとっても、サステナビリティを経営戦略の核心に位置づけ、経済的利益と社会的貢献を両立させるモデルを示しています。
また、資金調達の透明性と信頼性を高めるため、国際的な指針への適合性を第三者機関からの評価を受けるなど、サステナビリティ・リンク・ローンの実践における誠実さも見逃せません。この取り組みは、「サステナブル金融ありき」の姿勢を超え、実質的な社会貢献と経済効率の追求を融合させることで、持続可能な未来への貢献を目指しています。
エーザイのこの動きは、SDGsの達成に向けて、企業がどのように貢献できるかの素晴らしい事例を提供しており、企業のCSRやSDGs推進責任者にとっても大きな学びとなるでしょう。