SDGs・脱炭素の用語

【用語解説】ステークホルダー・エンゲージメントとは?SDGs達成に向けた重要な取り組み

概要

ステークホルダー・エンゲージメントの概要

ステークホルダー・エンゲージメントとは、企業がステークホルダー(利害関係者)との対話や協働を通じて、互いの期待や要望を理解し、信頼関係を構築していくプロセスです。ステークホルダーには、株主、従業員、顧客、取引先、地域社会、NGO・NPOなど、企業の活動に影響を与える、または影響を受けるすべての個人や組織が含まれます。

企業は、ステークホルダーとの対話を通じて、自社の事業活動がステークホルダーに与える影響を把握し、ステークホルダーの期待や要望を理解することができます。そして、それらを企業経営に反映させることで、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進することができるのです。

対象のSDGsゴールとターゲット

ステークホルダー・エンゲージメントは、以下のSDGsゴールとターゲットに貢献します。

・ゴール12(つくる責任 つかう責任):持続可能な消費と生産のパターンを確保する

-ターゲット12.6:特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。

・ゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう):持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

-ターゲット17.16:全ての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。

-ターゲット17.17:さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官⺠、市⺠社会のパートナーシップを奨励・推進する。

企業への影響

ステークホルダー・エンゲージメントは、企業の社会的責任(CSR)を果たすための重要な取り組みの一つです。

企業がステークホルダーとの対話を通じて、社会的課題の解決に取り組むことは、企業の評判やブランド価値の向上につながります。また、ステークホルダーとの信頼関係を構築することで、企業は安定的な事業運営を行うことができます。

一方で、ステークホルダー・エンゲージメントを適切に行わない企業は、ステークホルダーからの信頼を失い、事業運営に支障をきたす可能性があります。例えば、環境問題や人権問題などへの対応が不十分な企業は、消費者からのボイコットや投資家からの投資引き上げなどのリスクに直面する可能性があります。

主な事例

1.パタゴニア

アウトドア用品メーカーのパタゴニアは、環境保護団体とのパートナーシップを通じて、持続可能な素材の開発や環境保全活動に取り組んでいます。また、サプライチェーン上の労働者の権利保護にも積極的に取り組んでおり、ステークホルダーとの対話を通じて、持続可能な社会の実現に貢献しています。

2.ユニリーバ

日用品大手のユニリーバは、サプライヤーとの協働を通じて、持続可能な原材料の調達に取り組んでいます。また、消費者との対話を通じて、持続可能な製品の開発や啓発活動にも力を入れています。ユニリーバは、ステークホルダー・エンゲージメントを通じて、事業活動全体でサステナビリティを追求しています。

3.富士通

ITサービス大手の富士通は、お客様や社会との対話を通じて、社会課題の解決に向けたデジタル技術の活用に取り組んでいます。また、社員との対話を通じて、ダイバーシティ&インクルージョンの推進にも力を入れています。富士通は、ステークホルダー・エンゲージメントを通じて、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しています。

まとめ

ステークホルダー・エンゲージメントは、企業がSDGsに貢献し、持続可能な社会の実現に向けて取り組むための重要な手段です。

企業は、ステークホルダーとの対話や協働を通じて、社会的課題の解決に取り組み、ステークホルダーからの信頼を獲得することができます。今後、SDGsの達成に向けて、より多くの企業がステークホルダー・エンゲージメントに積極的に取り組むことが期待されます。