注目のサステナビリティ企業をご紹介!日本ペットホテル協会株式会社さま

「動物への無償の愛」を世界標準のビジネスモデルへ

目次

日本ペットホテル協会が実現する、人と動物の真の共生社会

インタビュアー:松尾真希(株式会社FrankPR 代表取締役社長 ジャパンSDGsアワード受賞者、TEDプレゼンテーター)

愛知県名古屋市に本社を構える日本ペットホテル協会株式会社。ペットホテル&トリミングサロンを核に、建築・ITまで手がける同社が、驚異的なスピードで事業を拡大している。その背景には、「動物ファースト」という一貫した理念と、それを支える独自の人材育成システムがあった。代表取締役社長の鬼頭克明氏に、動物との共生社会を実現するビジネスモデルについて伺った。


ペットの体調不良から生まれた「ケージフリー」という革新

松尾:鬼頭社長、まず御社がSDGsに取り組まれるようになった原点について教えていただけますか。

鬼頭社長:実は最初からSDGsを意識していたわけではないんです。ただ、私が何か事業を始めるときは常に「人のため、動物のためになることをやり続けたい」という想いがありました。転機となったのは、自分の愛犬が体調を崩してしまったことです。

松尾:愛犬の体調不良が事業のきっかけだったんですね。

鬼頭社長:そうなんです。一般的なペットホテルでは、どうしてもストレスで体調を崩してしまう。それなら、本当にペットに優しいホテルを作れば、飼い主さんも安心して出かけられる。そこで生まれたのが「ケージフリー」というコンセプトでした。動物と人が共生できる社会を作りたい、その一心で始めました。

松尾:ケージフリーという発想は、まさに動物の立場に立った革新的なアプローチですね。5世代先を見据えた持続可能な社会づくりという観点からも、動物との関係性を見直すことは重要です。現在、特に力を入れているSDGsの取り組みについて詳しく教えてください。


トリマーの給与125%実現が生み出す好循環

鬼頭社長:主に2つのSDGsゴールに貢献しています。まず「ゴール8:働きがいも経済成長も」では、トリマーの育成と待遇改善に注力しています。業界では人材不足が深刻ですが、私たちは給与を業界平均の115%〜125%に設定しています。

松尾:125%という数字は画期的ですね。どのように実現されているのですか?

鬼頭社長:ITシステムを活用して効率化を図っています。予約状況を見ながらアイドルタイムを練習時間に充てるなど、スタッフの成長と店舗の収益性を両立させる仕組みを作りました。技術のマスター度合いによって給与が変わる制度も導入し、スキルアップへのモチベーションを高めています。

松尾:働く人の成長と企業の成長を同時に実現する、まさに持続可能な経営モデルですね。もう一つのゴールについても教えてください。

鬼頭社長:「ゴール11:住み続けられるまちづくりを」では、動物との共生社会の実現を目指しています。私たちは動物病院も所有し、医療面からもペットをサポートしています。日本ではまだ動物が「命」として十分に扱われないことがありますが、私にとって動物は「無償の愛をくれる存在」です。その愛に応えられる環境づくりを進めています。


フィリピンで展開する、予想外の社会貢献

松尾:海外展開についても伺いたいのですが、フィリピンで日本語学校を運営されているとか。これは意外な展開ですね。

鬼頭社長:はい、実はフィリピンには日本で働きたいという若者がたくさんいます。そこで私が施設や先生の給料、授業料などを負担して日本語学校を作りました。その代わりに犬の世話をしてもらうという、ユニークな取り組みです。

松尾:とても興味深い相互扶助のモデルですね。どのような教育をされているのですか?

鬼頭社長:日本語だけでなく、丁寧な挨拶など日本の行動様式も教えています。来日してから礼儀などで困ることがないように。日本の文化が教育を通じて広がっていくことを願っています。

松尾:単なる語学教育ではなく、文化の架け橋となる人材を育成されているんですね。これこそ、真の意味でのグローバルな社会貢献だと感じます。途上国の発展について、どのようなビジョンをお持ちですか?

鬼頭社長:途上国には、時間管理や約束事を守るという基本的な部分で課題があることが多いです。でも、それを批判するのではなく、教育を通じて一緒に成長していきたい。ペットの仕事だけでなく、相手の国の文化や発展にも貢献できればと考えています。


急成長の秘訣は「本当に動物が好きな人」の集結

松尾:御社は急速に多店舗展開されていますが、その成功の秘訣は何でしょうか?

鬼頭社長:すでにフランチャイジーに参加された方々が「もっと増やしたい」と言ってくださることが何よりの証です。その根底にあるのは、とにかく動物が大好きな人が働いている会社だということ。私たちは「人を育成する会社」として、研修や適正な対価の提供に力を入れています。

松尾:人材への投資が、結果的に事業の成長につながっているんですね。

鬼頭社長:そうですね。動物が本当に好きで、その想いをスキルアップにつなげたい人が働きやすい環境を作る。この業界ではあまり実践されていない「働きがいも経済成長も」を両立できていると自負しています。

松尾:まさに、サステナビリティの本質である「経済・社会・環境」の調和を体現されていますね。急成長に対する周囲の反応はいかがですか?

鬼頭社長:正直、急展開すぎて信用してもらえないこともあります。でも、私たちは「本当に動物たちに良い環境か?」を常に問いながら拡大しています。目先の利益ではなく、動物への愛をベースにした仕組みづくりを大切にしています。


動物への愛を、持続可能なビジネスへ

松尾:最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

鬼頭社長:海外展開では、単にペットビジネスを広げるだけでなく、お客様との交流を通じて相手国の文化発展にも貢献したいです。また、動物を愛する気持ちを仕事にしたい方、ボランティアをされている方など、たくさんの方にお会いします。その想いを一緒に、より良い動物との共存社会づくりにつなげられれば嬉しいです。ぜひ一緒に働くことができたらと思っています。

松尾:鬼頭社長社長のお話を伺って、動物への愛が単なる感情ではなく、しっかりとしたビジネスモデルとして成立していることに感銘を受けました。高待遇による人材確保、ITを活用した効率化、そして海外での教育事業。これらすべてが「動物への無償の愛に応える」という理念でつながっている。まさに、想像力が世界を変える力になることを実証されていますね。


インタビューを終えて

日本ペットホテル協会の取り組みは、ペット産業における新たなスタンダードを示しています。「動物ファースト」を掲げながら、働く人の待遇改善と事業の持続的成長を両立させる経営モデル。さらに、フィリピンでの教育事業という予想外の展開が、国際的な社会貢献につながっています。

鬼頭社長の「動物は無償の愛をくれる存在」という言葉が印象的でした。その愛に応えるために構築されたビジネスモデルは、まさにSDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会の実現に通じています。動物も、働く人も、地域社会も、すべてのステークホルダーが幸せになる仕組み。これこそが、次世代に引き継ぐべき持続可能なビジネスの姿ではないでしょうか。若くして多店舗展開を成し遂げていらっしゃいますがお話した印象ではとても落ち着いて信頼できる語り口が印象に残りました。

急成長への懸念を信頼に変えるのは、こうした理念の一貫性と実績の積み重ねです。日本ペットホテル協会の挑戦は、ペット産業の未来だけでなく、日本企業のSDGs実践のあり方にも新たな視座を提供しています。

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