【京都発】ホテルの廃棄タオルが”一点モノ”の服に!SDGsの未来を示すアップサイクルブランド「svartbysvart」の挑戦

脱炭素とSDGsの知恵袋の編集長、日野広大です。私たちの取り組みは、政府のSDGs推進本部からも評価(ジャパンSDGsアワード外務大臣賞)をいただいておりますが、その専門的知見を活かし、今回は「ごみ」を「たから」に変える、心温まる未来へのヒントをお届けします。

観光都市・京都。その華やかさの裏で、ホテルから日々大量に廃棄されるタオルがあることをご存知でしょうか。小さなシミやほつれを理由に役目を終えたタオルが、京都の若きアーティストの手によって、世界に一つだけの美しい洋服へと生まれ変わっています。

この記事では、サステナブルファッションの新たな可能性を示す、この素晴らしい取り組みについて掘り下げていきます。

  • ニュースの概要: 京都で始まった「廃棄タオル→洋服」プロジェクト
  • 「アップサイクル」とは? リサイクルとの違いを30秒で解説
  • なぜホテルから大量のタオルが? 業界が抱える「見えない」課題
  • 一点モノが生まれるまで: アーティストの想いと創造のプロセス
  • 私たちが今日からできること: サーキュラーエコノミーを日常に

目次

ニュースの概要:京都の路地から始まる、静かな革命

京都市東山区の風情ある「あじき路地」に、フィンランド人アーティストのマルコ・スヴァルトさんと木内麗央(りお)さんが営むショップ「svartbysvart(スヴァルトバイスヴァルト)」はあります。彼らが手がけるのは、ホテルで廃棄されるはずだったバスタオルを素材にした、コートやパーカー、ズボンなどの洋服です。

ニュースのポイント(産経新聞より)

  • 取り組み: 汚れやほつれで使えなくなったホテルのバスタオルを、付加価値の高い洋服に作り変える「アップサイクル」。
  • 品質: 1着あたり2〜3枚のバスタオルを使用。タオルの特性を活かした、肌触りが良く着心地のいい服に仕上がっている。
  • 背景: ホテル業界では使い捨てプラスチック削減は進む一方、繊維製品のリユース・リサイクルはコストや衛生面の課題から進んでいなかった。

出典: ホテル廃棄のタオル→洋服へ「変身」 京都のアーティストが再生する珍しいアップサイクル (産経新聞)

この活動は、単にゴミを減らすだけでなく、廃棄物に新たな命と価値を吹き込む、まさにSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を体現したモデルケースです。svartbysvart(スヴァルトバイスヴァルト)の公式ページも貼っておきます。

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「アップサイクル」と「リサイクル」、違いは?

ここで重要な「アップサイクル」という言葉を解説します。

  • リサイクル (Recycle): 資源を再利用すること。ペットボトルを溶かして繊維にするなど、一度原料に戻すプロセスを指すことが多いです。
  • アップサイクル (Upcycle): 捨てられるはずだったものに、デザインやアイデアといった新たな価値を与え、元の製品よりグレードアップさせること。

今回の取り組みは、単なるタオルの再利用(リユース)や、繊維に戻すリサイクルではなく、「廃棄タオル」を「デザイナーズウェア」という、より価値の高いものに生まれ変わらせているため、典型的なアップサイクルと言えます。

なぜホテルから大量のタオルが?業界の「見えない」課題

高級ホテルほど、顧客に提供するタオルの品質基準は厳しくなります。ほんの小さなシミ、わずかな糸のほつれがあるだけで、そのタオルは客室で使えなくなってしまいます。

もちろん、多くのホテルでは、そうしたタオルを館内の清掃用の雑巾にしたり、災害備蓄用にしたりと、すぐに廃棄しない努力をしています。しかし、それでも発生量に追いつかず、最終的には廃棄されてしまうのが現実でした。

環境省も指摘するように、繊維製品は再加工のコストや衛生管理の難しさから、リサイクルやリユースが特に難しい分野の一つ。この「svartbysvart」の取り組みは、業界が長年抱えてきた、光の当たりにくい課題にクリエイティブな解決策を提示したのです。

(提案画像:アーティストがタオルを裁断・縫製している様子。クラフトマンシップが伝わる写真)

一点モノが生まれるまで:アーティストの想いと創造のプロセス

  1. 想いの共有: 「もったいない」という気持ちから、アーティスト2人が市内のホテルに協力を呼びかけ、廃棄タオルを回収。
  2. 浄化と再生: 集められたタオルは、丁寧にクリーニングされ、必要に応じて染色が施され、新たな素材として生まれ変わる準備をします。
  3. 創造: デザインから裁断、縫製まで、全てが手作業。タオルの柔らかな風合いや質感を最大限に活かしながら、世界に一つだけの洋服が作られます。

「不要になったタオルが服として生き返ることはうれしい」と語るホテル側の担当者。この取り組みは、廃棄する側とされる側、双方にとって価値のある、美しい循環(サーキュラーエコノミー)を生み出しているのです。

まとめ:日常の「当たり前」を問い直す、京都からのメッセージ

この小さな工房からの挑戦は、私たちに大きな問いを投げかけています。それは、「これは本当にゴミなのだろうか?」という問いです。

「svartbysvart」の服は、その背景にあるストーリーを知ることで、さらに価値を増します。それは単なる衣類ではなく、環境への配慮、職人の技術、そしてモノを大切にする心が織り込まれた、一つのアート作品と言えるでしょう。

<私たちにできること>

  • 知る・訪れる: 京都の店舗は2025年6月末までの期間限定ですが、公式ウェブサイトではオンライン購入が可能です。まずはその世界観に触れてみてください。
  • 選ぶ意識を持つ: モノを買うときに、その背景にあるストーリーや、環境への影響を少しだけ考えてみる。アップサイクル製品やサステナブルなブランドを意識的に選ぶことが、社会を変える一票になります。
  • 日常を見直す: 自宅で古くなったタオル。「雑巾にして捨てる」の他に、何か新しい使い道はないか?創造力を働かせることも、楽しいSDGsアクションです。

この京都の取り組みは、大量生産・大量消費の時代から、一つ一つのモノを慈しみ、価値を再発見する時代へのシフトを象徴しています。あなたの身の回りにある「もったいない」も、きっと素敵な何かに生まれ変わる可能性を秘めているはずです。



参考資料: 産経新聞、環境省公開資料


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