【2026年4月施行】GX-ETS排出量取引制度とは?企業への影響とSDGsとの関係を徹底解説
こんな人にオススメです
- GX-ETSが何なのか基本から知りたいビジネスパーソン
- 自社が排出量取引制度の対象になるか確認したい経営者・環境担当者
- カーボンプライシングと企業経営の関係を理解したい方
- SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」に取り組む企業の方
- サプライチェーン上の取引先から排出量報告を求められている中小企業の方
脱炭素とSDGsの知恵袋の編集長 日野広大です。2026年4月1日、ついに日本版排出量取引制度「GX-ETS」が本格始動しました。「CO2に値段がつく時代」が始まったのです。企業経営にどんな影響があるのか、一緒に見ていきましょう。
最新のSDGsニュース: GX-ETS排出量取引制度が2026年4月に義務化開始
GX-ETSとは
GX-ETS(GX排出量取引制度)とは、企業のCO2排出量に上限(キャップ)を設定し、排出枠の過不足を市場で売買できる制度のことです。改正GX推進法に基づき2026年4月1日から施行され、一定規模以上の企業に参加が義務付けられました。欧州のEU-ETSに続く、日本版の「成長志向型カーボンプライシング」の柱となる制度です。
SDGsニュースの要約
2026年4月1日、改正GX推進法が施行され、GX-ETS(排出量取引制度)への参加が義務化されました。直近3事業年度のCO2直接排出量年度平均が10万トン超の事業者(国内約300〜400社)が対象で、日本全体の排出量の約60%をカバーします。対象企業は排出量の算定・報告、排出枠の償却、移行計画の提出という3つの義務を負います。2028年度には化石燃料賦課金が導入され、2033年度には発電事業者向けの有償オークションも開始される予定です。
SDGsニュースのポイント
- 2026年4月1日に改正GX推進法が施行、GX-ETSが義務化
- 対象はCO2直接排出量年度平均10万トン超の企業、約300〜400社
- 対象企業で日本の排出量の約60%をカバー
- 企業の3つの義務:排出量の算定・報告、排出枠の償却、移行計画の提出
- 排出量報告には第三者検証が必須
- 排出枠不足時は市場で購入が可能、余剰分は売却も可能
- 未償却時のペナルティは「参考上限取引価格の1.1倍」
- 2026年度は排出量算定の計測期間、本格取引は2027年度から
- 2028年度に化石燃料賦課金を導入予定
- 2033年度に発電事業者向け有償オークション開始予定
SDGsニュースを考察
「CO2を出すとお金がかかる」という仕組みが、ついに日本でも本格スタートしました。これはSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」の実現に向けた、日本の大きな一歩です。
排出量取引で何が変わるのか
これまで日本企業のCO2排出は、言わば「タダ」でした。しかし、GX-ETSの導入により、排出量には明確な「価格」がつくようになります。排出量を削減できた企業は余った排出枠を売却して利益を得られ、削減が進まない企業はコスト増になります。つまり、カーボンニュートラルへの取り組みが、企業の競争力に直結する時代が来たのです。
欧州のEU-ETSでは、炭素価格がCO2 1トンあたり50〜100ユーロ(約8,000〜16,000円)程度で推移しています。日本のGX-ETSでも、今後取引価格がどの水準に落ち着くかが、産業界の大きな関心事です。
中小企業にも波及する影響
「うちは年間10万トンも出さないから関係ない」と思われた中小企業の方もいるかもしれません。しかし、実はそうとは限りません。対象企業のサプライチェーンに組み込まれている場合、取引先からスコープ3の排出量データの報告を求められる可能性が高まります。
また、2028年度には化石燃料賦課金が導入されるため、規模に関係なくすべての企業のエネルギーコストが上昇する見通しです。SDGs経営の観点からも、早めの準備が重要です。
世界の動向と日本の位置づけ
世界を見ると、EUは2005年からETSを運用し、中国も2021年に全国規模のETSを開始しています。日本のGX-ETSは後発ではありますが、「GX移行債」による20兆円規模の投資支援や、段階的な制度設計など、企業の競争力を維持しながら脱炭素を進めるアプローチが特徴です。SBTi認定を取得する企業も増えており、国際的な脱炭素競争はますます激化しています。
私たちにできること
GX-ETSは企業向けの制度ですが、私たち消費者にも関係があります。
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脱炭素に取り組む企業の製品・サービスを選ぶ
排出量削減に積極的な企業を応援する「エシカル消費」は、市場を通じて企業の脱炭素を後押しします。エシカル消費は、私たちの日々の買い物から始められます。 -
投資・資産運用でESGを意識する
インパクト投資やESG投資を通じて、脱炭素に取り組む企業に資金を流すことも重要なアクションです。 -
自社の排出量を把握することから始める
企業にお勤めの方は、まず自社のCO2排出量がどのくらいなのか把握することが第一歩です。無料の算定ツールも多数公開されています。
GX-ETSの始動は、日本企業の脱炭素経営を加速させる大きな転換点です。制度を「負担」と捉えるか「チャンス」と捉えるかで、企業の未来は大きく変わるでしょう。
よくある質問FAQ
Q1. GX-ETSの対象企業でない場合、何もしなくてよいのですか?
A1. 直接の義務はありませんが、サプライチェーンを通じた間接的な影響は避けられません。取引先からの排出量データ報告要請や、2028年度以降の化石燃料賦課金によるコスト増への備えが必要です。中小企業向けの支援策も拡充されていますので、早めの情報収集をお勧めします。
Q2. 排出枠はどこで売買できるのですか?
A2. 2027年度から本格稼働する排出量取引市場で売買できます。2026年度は排出量の算定・計測期間であり、この期間のデータに基づいて2027年度に最初の排出枠が割り当てられます。東京証券取引所にカーボン・クレジット市場が開設されています。
Q3. GX-ETSとカーボンプライシングの違いは何ですか?
A3. カーボンプライシングはCO2排出に価格を付ける仕組みの総称で、排出量取引制度(GX-ETS)と炭素税(化石燃料賦課金)の2つが柱です。GX-ETSは2026年度から、化石燃料賦課金は2028年度から導入される予定です。
執筆:脱炭素とSDGsの知恵袋 編集長 日野広大
参考資料:経済産業省「排出量取引制度」、GX DiG「改正GX推進法とは?」


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