スコープ3排出量算定、環境省が新ガイドラインで一次データ使用を推奨

SDGsの知恵袋編集部の菊尾です。
今日も下記の最新の脱炭素やSDGsのニュース記事について考察と意見をお伝えします。

環境省は、企業のGHG排出量算定に関するガイドラインを改定し、サプライチェーン排出量(スコープ3)の算定において、より精度の高い排出量の把握のために一次データ(実測値)の活用を推奨すると発表しました。今回の改定は、企業に対し、サプライチェーン全体での排出量削減に向けた取り組み強化を促す狙いがあります。

SDGsニュース:環境省、GHG算定での一次データ推奨を仕切り直しへ

ニュースの概要

環境省はGHG算定において一次データの推奨を進めていたが、ガイドラインの改訂が難航し、発行時期を再検討することになった。一次データは実測値を基にした算定方法で、より正確な排出量の把握が可能だが、サプライチェーン全体でのデータ収集には課題がある。環境省は全業界共通の算定方法を目指しているが、現状では業界単位での取り組みが進んでいる。

SDGsニュースの主な要点

  • 環境省は、企業が温室効果ガス排出量を算定する際の指針となる「事業者による温室効果ガス排出量算定に関するガイドライン」を2023年8月に改定した。
  • 今回の改定では、サプライチェーン排出量(スコープ3)の算定において、より精度の高い排出量の把握のために、一次データ(実測値)の活用を推奨している。
  • 従来は、業界平均値などの二次データの使用が認められていたが、今後は、可能な限り、サプライヤーから排出量の測定値などの一次データを入手し、算定に用いることが求められる。
  • 一次データの活用により、より正確なスコープ3排出量の把握が可能となり、効果的な排出削減対策の推進につながることが期待される。
  • 環境省は、今後、企業が一次データを収集しやすくするための支援策を検討していく方針。

「SDGsの知恵袋の編集部」の考察と意見

脱炭素とSDGsの知恵袋編集部の菊尾です。

突然ですが皆さん、「 スコープ3 」ってご存知ですか?
「え、スコープ3…?なんか、望遠鏡の種類みたい…?」
なんて思った方もいるかもしれませんね(笑)
実はこれ、企業の GHG排出量 を算定する上で、とっても重要なキーワードなんです!
今回は、この スコープ3 を含む GHG排出量算定 に関するガイドラインが、環境省によって改定されたというニュースについて、分かりやすく解説していきたいと思います!

スコープ3の定義と重要性

まず、 スコープ3 について簡単に説明すると、これは「サプライチェーン排出量」とも呼ばれ、企業が事業活動を行う上で、間接的に排出する GHG排出量 のことを指します。

もう少し具体的に言うと、

  • 原材料の調達
  • 製品やサービスの使用
  • 従業員の通勤
  • 出張
  • 廃棄物処理
    など、自社の事業活動に伴って発生する GHG排出量 のうち、自社の直接的な活動以外から排出されるものを スコープ3 として算定します。

例えば、アパレル会社の場合、

  • 繊維メーカーが糸を作る際に排出される GHG
  • 縫製工場で洋服を作る際に排出される GHG
  • お客様が洋服を自宅で洗濯する際に排出される GHG
    などが、 スコープ3 に該当します。

つまり、 スコープ3 まで含めると、企業活動全体で排出される GHG排出量 は、想像以上に多岐にわたることが分かりますよね。

スコープ3の重要性

近年、企業に対して、 サプライチェーン 全体で GHG排出量 を削減する取り組みが求められています。

その背景には、地球温暖化の深刻化があります。

世界では、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えることが喫緊の課題となっており、そのためには、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「 カーボンニュートラル 」を達成する必要があると言われています。

多くの企業が、自社の工場やオフィスでの省エネや再生可能エネルギーの導入などに取り組んでいますが、 スコープ3 の排出量は、自社の活動だけではコントロールすることが難しく、サプライヤーなどとの連携が不可欠となります。

そこで、企業には、 サプライチェーン 全体で GHG排出量 を削減するために、

  • サプライヤーに対して、 GHG排出量 削減の協力を要請すること
  • GHG排出量 の少ない原材料や製品を調達すること
  • 輸送方法の見直しや、再生可能エネルギーの利用を促進すること
    など、様々な取り組みが求められているんです。

ガイドライン改定のポイント

今回の環境省によるガイドライン改定のポイントは、 スコープ3排出量 の算定において、より精度の高い 一次データ(実測値) の活用を推奨している点です。

従来は、業界平均値などの 二次データ を使用することも認められていましたが、今後は、可能な限り、サプライヤーから排出量の測定値などの 一次データ を入手し、算定に用いることが求められます。

一次データ を活用することで、より正確な スコープ3排出量 の把握が可能となり、より効果的な排出削減対策を打つことができるようになると期待されています。

企業の対応策

今回のガイドライン改定を受けて、企業は、

  • スコープ3 を含めた、自社の GHG排出量 を正確に把握すること
  • サプライヤーと連携し、 一次データ の収集体制を構築すること
  • 効果的な GHG排出量 削減対策を計画・実行すること
    などが求められます。

特に、中小企業にとっては、 GHG排出量 算定や削減対策にかかる費用や人材の確保が課題となる場合もあるかと思います。

しかし、 SDGs への取り組みは、企業にとって新たなビジネスチャンスの創出や、企業価値の向上、優秀な人材の確保など、様々なメリットをもたらす可能性を秘めていることも事実です。

まとめ

今回は、 GHG排出量算定 のガイドライン改定について解説しました。

今回の改定は、企業にとって、 サプライチェーン 全体で 脱炭素 を推進する取り組みを加速させる良い機会になるのではないでしょうか。

私たちも、今回のガイドライン改定を踏まえ、より一層 SDGs への貢献を強化していきたいと考えています!

この記事が、少しでも皆さんの SDGs への理解を深めるきっかけになれば幸いです。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

SDGsの知恵袋編集部 菊尾

ファッション業界として史上初の外務省ジャパンSDGsアワードを受賞した株式会社FrankPRのスタッフです。2024年現在、日本で5社しかいない外務省と環境省のSDGsアワード受賞社長である松尾真希から直接学んできた人材不足や資金不足でもできる経営実践型の脱炭素やサステナビリティの知識を生かしてお役に立てる記事を執筆してまいります。

その他のSDGsニュース考察記事