スコープ3対策が遅れる日本企業への警鐘!グローバル調査が示す課題と解決策

1.今回解説する脱炭素・SDGsニュース:Nearly Two-Thirds of Companies not yet Reporting Climate-Related Financial Impact on Financial Statements: EY

SDGsの知恵袋編集部の菊尾です。
今日は下記のSDGsニュース記事について考察と意見をお伝えします。

EYの最新調査によると、グローバル企業の気候関連情報開示は進んでいるものの、財務諸表への影響やトランジション計画の具体性に課題があることが明らかになりました。特に、多くの企業がスコープ2の排出削減に注力する一方、サプライチェーン全体を含むスコープ3の対策が遅れています。本記事では、調査結果を詳細に分析し、企業が取るべき6つのアクションを提案します。

2.ニュースの要約

EYの最新の調査によると、世界中の企業は気候関連の財務開示の質を徐々に向上させているものの、約3分の1しか気候関連の財務影響を財務諸表に記載しておらず、60%近くは移行計画を開示していない。企業は主にエネルギー使用からの排出削減に焦点を当てており、バリューチェーン全体の気候影響に対処するには不十分である。調査では、企業の気候関連報告のカバレッジは94%に達しているが、報告の質は平均54%と低迷している。企業は移行計画の策定が遅れており、41%のみが計画を報告している。企業は気候リスクを財務諸表に反映させる必要があり、具体的な行動を取ることが求められている。

3.SDGsニュースの主な要点

  • EYの調査対象企業の94%がTCFDに基づく気候関連情報を開示しているが、質の平均スコアは54%に留まる
  • 財務諸表で気候変動リスクに言及している企業は36%のみで、定量的な記述は20%に過ぎない
  • 気候変動リスクの高いエネルギー・保険セクターのスコアは高いが、多くの企業でトランジション計画が未策定
  • トランジション計画を策定済みの企業は41%で、英国とEUでは割合が高い
  • 83%の企業が短期的な排出削減目標を設定しているが、2030年以降の長期目標設定は51%に留まる
  • 科学に基づく目標イニシアチブ(SBTi)の認証を取得している企業は24%に過ぎない
  • 多くの企業の脱炭素化戦略はスコープ2に偏っており、スコープ3対策は18%に留まる

4.「SDGsの知恵袋の編集部」の考察と意見

皆さん、こんにちは!「脱炭素とSDGsの知恵袋」編集部の菊尾です。

最近は、未来世代に美しい地球を残すために、企業のSDGsや脱炭素への取り組みがますます注目を集めていますよね。

EY調査が明らかにした、企業の気候変動対策の現状

国際的なプロフェッショナルサービス企業であるEYが発表した最新の調査結果によると、世界中の企業の気候関連情報開示は進展しているものの、課題も山積していることが明らかになりました。

スコープ3への取り組み不足、日本企業も他人事ではない

さらに、多くの企業が自社の事業活動における直接排出(スコープ1)やエネルギー使用に伴う間接排出(スコープ2)の削減に注力する一方で、サプライチェーン全体を含むスコープ3排出量の削減に向けた取り組みは遅れていることが明らかになりました。スコープ3対策を実施している企業はわずか18%に過ぎないという結果に、危機感を覚えます。

松尾社長の視点:「ESG経営への統合が企業価値を最大化する」

この調査結果について、弊社の松尾真希社長に意見を求めました。

「菊尾さん、この調査結果は、企業が気候変動への対応を義務としてではなく、企業価値を創造する戦略的機会と捉えるべきだと示唆しています。ISSB基準やTCFD勧告への対応はもちろん重要ですが、企業はそれにとどまらず、ESGを経営戦略の中核に統合し、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を推進していく必要があります。」

EYが提言する、企業が取るべき6つのアクション

  1. 行動計画の策定: 科学的根拠に基づいた、具体的かつ実行可能なトランジション計画を策定する。
  2. 財務影響の分析: 気候変動リスクが財務諸表に及ぼす影響を分析し、潜在的な機会を探索する。
  3. データに基づく意思決定: データを適切に収集・分析し、リアルタイムな情報に基づいた意思決定を行う。
  4. リソース配分: サステナビリティチームに十分なリソースを配分し、戦略立案と実行を支援する。
  5. 経営層の意識改革: 経営層の気候リスクに関する理解を深め、スキル向上を支援する。インセンティブ設計も重要。
  6. セクター横断的な連携: 業界の垣根を越えた協働を通じて、新たな価値を創造する。

まとめ:持続可能な社会の実現に向けて、共に前進しよう

EYの調査結果が示すように、企業の気候変動対策は未だ道半ばです。しかし、同時に、未来への希望も感じられます。

多くの企業が情報開示や目標設定といった最初のステップを踏み出しており、今こそ、具体的な行動計画の策定と実行に移す時です。

「脱炭素とSDGsの知恵袋」は、これからも最新の情報を発信し、企業の皆様のサステナビリティ活動を支援していきます。

SDGsの知恵袋編集部 菊尾

ファッション業界として史上初の外務省ジャパンSDGsアワードを受賞した株式会社FrankPRのスタッフです。2024年現在、日本で5社しかいない外務省と環境省のSDGsアワード受賞社長である松尾真希から直接学んできた人材不足や資金不足でもできる経営実践型の脱炭素やサステナビリティの知識を生かしてお役に立てる記事を執筆してまいります。

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