SDGsの知恵袋編集部の菊尾です。
今日は下記のSDGsニュース記事について考察と意見をお伝えします。
米証券取引委員会(SEC)が、米上場企業に温暖化ガス排出量の開示を義務付ける規則を採択。2026年度からスコープ1、2の開示が始まり、グローバルで情報開示の制度化が進む。
タイトル: 温暖化ガス開示義務づけ、米でも 企業の対応急務に
内容
米SECが温暖化ガス排出量の開示を義務付ける規則を採択。スコープ1と2の開示が2026年度から要求されるが、スコープ3は除外された。この動きは世界的なサステナビリティ情報開示の潮流の一環であり、企業には正確な情報収集体制の構築が必要とされる。
SDGsニュースの主な要点
– 米証券取引委員会(SEC)が、米上場企業への温暖化ガス排出量開示を義務付ける規則を採択し、2026年度からスコープ1とスコープ2の開示を要求。
– 日米欧を含む世界主要地域で、気候関連情報の開示制度化が進行中。
– スコープ3(サプライチェーン排出量)の開示は、当初案から外れ、コストと非上場企業への負担が理由。
– SECの規則は、トヨタ自動車やソニーグループなどの日本企業にも適用され、これらの企業は情報収集とリスク分析の強化を進める。
– 欧州では2024年度から、環境や社会を含む幅広い領域のサステナビリティ情報開示が開始され、スコープ3の開示も必須。
– 日本では、2023年3月期の有価証券報告書からサステナ情報の記載欄が設けられ、国内向けのサステナ基準開発が進行中。
– 国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が作成したグローバル基準が、日本のサステナ基準のベースとなる予定。
– 日本の主要企業は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の推奨する開示項目のカバー率で世界2位。
– しかし、日本企業全体としては、温暖化ガスの開示体制はまだ整備途上であり、スコープ1と2の開示は約半数、スコープ3は2割にとどまる。
– 温暖化ガスの情報収集には課題があり、EYの調査では日本の気候変動開示の質のスコアは59%、世界全体でも50%と改善が必要。
– EYジャパンの牛島慶一氏は、リスクと機会の開示は増えているものの、商品ポートフォリオや投資計画の具体的な開示はまだ十分ではないと指摘。
「SDGsの知恵袋の編集部」の考察と意見
企業の温室効果ガス排出量開示への動きが、米国から始まった新たな波となりつつあります。この動きは、企業の透明性と持続可能性へのコミットメントを示す重要な一歩と言えるでしょう。特に、SECが新たに採択した気候関連開示規則は、2026年度から米国内外の上場企業に対し、自社事業による直接排出(スコープ1)と間接排出(スコープ2)のデータを開示することを義務付けています。しかし、サプライチェーンを通じた排出量(スコープ3)に関しては、その複雑さとコストの問題から今回の規則では除外されました。
この措置は、企業が投資家やステークホルダーに対し、より正確な環境リスク情報を提供するためのものです。また、ESG投資の基準としても機能し、投資家がより持続可能な企業を見極める手がかりとなります。国際サステナビリティ基準に沿ったこのような取り組みは、世界的な潮流として広がりつつあり、日本企業にとっても無視できないトレンドです。
ただし、日本企業全体で見ると、開示体制はまだ整備途上にあり、スコープ3の開示が特に課題となっています。これは、サプライチェーン全体の排出量を把握・管理することの難しさを示しており、今後の改善が求められています。企業は、持続可能な経営を目指す上で、これらの国際的な動向に適応し、透明性の高い情報開示を心がける必要があります。
この新たな規則の採用は、SDGs達成に向けた企業の取り組みにとっても重要な意味を持ちます。企業の環境への影響を正確に開示することは、環境保護だけでなく、社会全体の持続可能性に寄与することにつながります。日本の企業がこの世界的な動きにどう対応していくかが注目されます。