こんにちは。「脱炭素とSDGsの知恵袋」編集長の日野広大です。私たちのメディアは、SDGsへの貢献が評価され、政府SDGs推進本部から「ジャパンSDGsアワード」で外務大臣賞をいただいたFrankPRが運営しています。
現在、沖縄・九州地方に接近している台風について、多くの方が不安を感じていることでしょう。7月としては極めて異例の「トリプル台風」の発生。これは単なる天気のニュースではありません。地球温暖化が私たちの暮らしに及ぼす影響が、より深刻な形で現れた「サイン」です。
この異常気象をSDGsの視点から読み解き、私たちの命と暮らしを守るために何をすべきかを考えます。
この記事でわかること
- なぜ7月に「トリプル台風」という異常事態が起きたのか
- 気候変動と激甚化する自然災害の深刻な関係
- 台風対策がSDGs(特に目標11, 13)とどう繋がるのか
- 気候変動時代に必須となる「適応策」と、私たちが今すぐできること
7月になぜ3つの台風が?気候変動がもたらす「異常」の常態化
まず、現状を確認しましょう。気象庁の発表によると、台風7号、8号、9号が同時に存在し、特に7号と8号の影響で沖縄や九州南部では週明けにかけて大雨が長引く恐れがあります。
参照情報: 気象庁 台風情報
【警戒すべきポイント】
- 長引く大雨:九州南部で150mm、奄美地方で120mm(26日朝までの24時間)の降水量が予想され、さらに増える恐れも。
- 土砂災害・河川の増水:厳重な警戒が必要です。
- 強風・高波:沿岸部では特に注意が必要です。
専門家が「異例」と口を揃えるのは、台風シーズンのピーク(8月~9月)ではない7月に、これほど多くの台風が同時に発生している点です。この背景には、地球温暖化による海水温の上昇が大きく関係しています。
台風は、温かい海水からエネルギー(水蒸気)を供給されて発生・発達します。近年、地球温暖化によって日本の近海の海水温は上昇傾向にあり、より早い時期から、より強い勢力の台風が発生しやすい環境になっているのです。
「観測史上初」「数十年に一度」といった言葉を頻繁に耳にするようになったように、かつての「異常」が、残念ながら私たちの時代の「日常」になりつつあります。
台風がもたらす複合災害のリスクとSDGsの繋がり
激甚化する台風は、私たちの社会の脆弱性を浮き彫りにし、SDGsの達成を直接的に脅かします。
1. 目標13「気候変動に具体的な対策を」:すべての原因
今回のトリプル台風は、SDGs目標13が掲げる気候変動対策が、もはや一刻の猶予もないことを示しています。私たちが排出する温室効果ガスが、海を温め、強力な台風を生み出し、その脅威が私たち自身に跳ね返ってくる。この負の連鎖を断ち切る「緩和策(排出削減)」の加速が、世界中で求められています。
2. 目標11「住み続けられるまちづくりを」:問われる防災・減災
台風による豪雨や強風は、洪水、土砂災害、大規模停電などを引き起こし、都市機能を麻痺させます。これは、安全でレジリエント(強靭)な都市を目指すSDGs目標11への直接的な挑戦です。
これまでの常識に基づいた堤防やインフラでは対応しきれない事態が増えており、防災・減災のあり方そのものを見直す必要に迫られています。
私たちが今すぐ備えるべきこと。気候変動時代の「適応策」とは
気候変動への対策には、原因を減らす「緩和策」と、すでに起きている、また将来予測される影響に備える「適応策」の2つがあります。車に例えるなら、事故を起こさないための安全運転(緩和策)と、万一の事故に備えるシートベルトやエアバッグ(適応策)の両方が不可欠です。
激甚化する災害を前に、私たちはこの「適応策」を自分ごととして捉え、行動しなければなりません。
【個人でできる防災アクション(適応策)】
- ハザードマップの確認:お住まいの地域で、洪水や土砂災害のリスクがどこにあるか、避難場所はどこかを今すぐ確認しましょう。国土交通省や各自治体のウェブサイトで簡単に見ることができます。
- 避難計画の共有:家族や大切な人と、災害時にどう連絡を取り、どこに避難するかを具体的に話し合っておきましょう。
- 防災グッズの点検:非常食、飲料水、携帯トイレ、モバイルバッテリー、常備薬などをリュックにまとめ、すぐに持ち出せる場所に置いておきましょう。
- 最新情報の入手:気象庁の「キキクル(危険度分布)」や、自治体からの避難情報をこまめに確認する習慣をつけましょう。
【企業や地域社会に求められる役割】
企業には、従業員の安全確保はもちろん、事業継続計画(BCP)の見直しや、自社の技術やサービスを活かした防災・減災への貢献が期待されます。私たちFrankPRも、気候変動リスクの情報開示(TCFD)支援などを通じて、社会全体のレジリエンス向上に貢献したいと考えています。
まとめ:異常気象を「自分ごと」として捉え、未来への行動を
今回の「トリプル台風」は、私たちに厳しい現実を突きつけています。それは、気候変動がもはや遠い未来や他の国の問題ではなく、私たちの生活を直接脅かす「今、ここにある危機」だということです。
まずは、身の安全を確保するための行動を最優先してください。そして、この異常気象をきっかけに、気候変動という大きな問題に目を向け、日々の暮らしの中で何ができるかを考える。その一人ひとりの意識の変化と行動の積み重ねが、より安全で持続可能な未来を築くための最も確かな力となります。
執筆:脱炭素とSDGsの知恵袋 編集長 日野広大
参考資料: 気象庁、国土交通省ハザードマップポータルサイト
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