コラム：「あなたも、持続可能なキャリアを築けますか？」――EPALEの問いかけに学ぶ、未来をデザインする力

2025年6月7日

変化の時代、自らの手で未来のキャリアをデザインする（画像はイメージです）

脱炭素とSDGsの知恵袋の編集長、日野広大です。私たちのメディアは、政府のSDGs推進本部からジャパンSDGsアワード外務大臣賞をいただくなど、社会の持続可能性を追求する活動を続けています。今回は、欧州の知見を基に、皆さんの「働く未来」を一緒に考え、明日への一歩を後押ししたいと思います。

「誰もが持続可能なキャリアを築けるだろうか？」

これは、欧州連合（EU）の成人学習プラットフォームEPALEが、私たち一人ひとりに投げかけた深い問いです。変化が激しく、未来が見えにくい現代。今の仕事、これからのキャリアに、漠然とした不安や、あるいは新しい可能性への期待を抱いている方も多いのではないでしょうか。

もしあなたが、「ただ生活のためだけに働くのではなく、もっと自分らしく輝きたい」「社会や地球のために何かしたい」と願うなら、EPALEの問いかけは、まさにあなたのためのものです。そして、その答えは「YES」だと、私は信じています。そのために必要なヒントが、EPALEの記事には詰まっているのです。

EPALEが描く「持続可能なキャリア」――それは、4つの豊かさをデザインすること

まず、EPALEが示す「持続可能なキャリア」とは何か、その魅力的な全体像を共有させてください。それは単に「長く続けられる仕事」という意味ではありません。

EPALEによれば、それは、

経済的な基盤（Economic）: きちんと生活を支え、将来への安心感を持てること。
社会的なつながりと貢献（Social）: 他者や社会と関わり、誰かの役に立っている実感があること。
地球環境への配慮（Environmental）: 自らの仕事が、地球の未来にとってマイナスではなく、プラスの影響を与えること。
個人的な成長と幸福（Personal）: 仕事を通じて自分自身が成長し、心からの満足感や幸福を感じられること。

これら4つの要素がバランス良く満たされたとき、私たちのキャリアは真に「持続可能」になるのです。まるで、自分だけの美しい庭を丁寧にデザインし、手入れしていくように、キャリアも創造的に築いていく。そんなワクワクするイメージが湧いてきませんか？

なぜ今、この「デザイン思考」がキャリアに必要なのか？

EPALEがこの問いを投げかける背景には、私たちの社会が直面する大きな変革があります。

グリーン経済への移行: 気候変動対策は待ったなし。再生可能エネルギー、省エネ技術、サステナブルな農業など、「グリーン・スキル」を持つ人材が、あらゆる産業で求められています。
デジタル化の波: AI、IoT、ビッグデータ…。これらの「デジタル・スキル」は、もはや一部の専門家のものではありません。新しいツールを使いこなし、変化を生み出せる人材が、未来をリードします。

EPALEは、こうした大変革期だからこそ、「質の高いキャリアガイダンス」と「生涯にわたる学習」が、羅針盤となり、私たちを未来へと導いてくれると強調しています。

「サステナブル人材」への扉を開く、EPALEからの3つのエール

では、どうすれば私たちも「持続可能なキャリア」という名の庭をデザインできるのでしょうか？EPALEの記事から、具体的な3つの行動指針を読み解いていきましょう。

エール①：あなたの「心の声」を聴く勇気を！――進化するキャリアガイダンスが伴走者になる
EPALEは、キャリアガイダンスの重要性を繰り返し説いています。それは、単に仕事を紹介するだけでなく、あなたが本当に大切にしている価値観、情熱、そして隠れた才能を見つけ出し、変化する社会のニーズと結びつけるための「プロの伴走者」です。
「何がしたいかわからない」それでいいんです。まずはキャリアコンサルタントや信頼できるメンターに相談し、自分の「心の声」に耳を澄ませてみませんか？そこから、あなただけの「サステナブルな道」が見えてくるはずです。
エール②：学びは一生の宝物！――生涯学習で、未来の自分をデザインし続けよう
「もう学ぶことはない」なんて、この変化の時代にはありえません。EPALEは、生涯学習こそが、私たちを常にアップデートし、新しい可能性を与えてくれると教えています。特に、先ほど触れた「グリーン・スキル」や「デジタル・スキル」は、これからのキャリアを豊かにする強力な武器になります。
オンライン講座、地域のワークショップ、資格取得…。どんな形でも構いません。新しい知識やスキルに触れるワクワク感を、日常に取り入れてみませんか？学び続けるあなたは、いつだって成長できるのです。
エール③：誰も置き去りにしない優しさを！――公平な機会が、社会全体の力になる
EPALEが強く訴えるもう一つの柱が、インクルージョン（包摂性）と公平性です。素晴らしいキャリアの機会も、一部の人しかアクセスできなければ意味がありません。年齢、性別、経験、居住地…どんな背景を持つ人でも、学び、挑戦し、持続可能なキャリアを追求できる社会を、私たち自身の手で創っていく必要があります。
それは、他の誰かのためだけではありません。多様な人々がそれぞれの才能を開花させる社会こそ、最も創造的で、最もレジリエント（困難から立ち直る力がある）な社会だからです。