シェアリングエコノミーとは?仕組み・事例・メリットとSDGsへの貢献

シェアリング経済

シェアリングエコノミーとは?仕組み・事例・メリットとSDGsへの貢献

フリマアプリで使わなくなった服を売ったり、旅行先で民泊を利用したり、必要な時だけカーシェアを利用したり… こうしたサービスは、私たちの生活にすっかり浸透してきました。これらはすべて「シェアリングエコノミー(共有経済)」と呼ばれる、新しい経済の形の一部です。

この記事では、シェアリングエコノミーとは何か、その基本的な仕組みから具体的なサービス例、メリットや課題、そしてSDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素といった地球規模の課題とどう関わっているのかを、分かりやすく解説していきます。

目次

シェアリングエコノミーとは何か?

シェアリングエコノミー (Sharing Economy) とは、個人や企業が保有しているモノ、場所、スキル、時間などの遊休資産 (使われていない資産) を、インターネット上のプラットフォームなどを介して、他の必要としている個人や企業に提供したり、共有したりする経済の仕組みのことです。「共有経済」とも呼ばれます。

従来のように企業が製品やサービスを大量生産して消費者に「所有」してもらうモデルとは異なり、シェアリングエコノミーでは「共有」や「利用」に重点が置かれます。スマートフォンアプリなどを通じて、提供者と利用者を直接つなぐP2P (Peer-to-Peer) やC2C (Consumer-to-Consumer) の取引が多いのも特徴です。

基本的な仕組み:遊休資産の活用

シェアリングエコノミーの根幹にあるのは、「使われていないモノや能力を有効活用する」という考え方です。

  • 提供者: 自宅の空き部屋、普段あまり乗らない車、使っていない道具、空いている時間や専門スキルなどを提供し、収入を得ることができます。
  • 利用者: モノを所有せずに必要な時だけ利用できるため、コストを抑えられます。また、多様な選択肢の中から必要なサービスを見つけやすくなります。
  • プラットフォーマー: 提供者と利用者をつなぐ場(ウェブサイトやアプリ)を提供し、マッチング、決済、評価システムなどを担い、手数料を得ます。

この仕組みにより、社会全体で資産が無駄なく活用されることが期待されます。

シェアリングエコノミーの主な種類と具体例

シェアリングエコノミーは、共有する対象によっていくつかのカテゴリーに分類できます。

カテゴリー共有する対象具体的なサービス例 (日本国内の代表例含む)
モノ使っていない物品フリマアプリ (メルカリ、ラクマ)、レンタルサービス (Rentio、Alice Style)、ファッションレンタル (airCloset)
移動車、自転車などカーシェアリング (タイムズカー、カレコ)、ライドシェア (※日本では規制あり)、シェアサイクル (ドコモ・バイクシェア)
空間空き部屋、会議室民泊 (Airbnb)、駐車場シェア (akippa)、レンタルスペース・会議室シェア (スペースマーケット、インスタベース)
スキル専門知識、技能スキルシェア (ココナラ、ストアカ)、クラウドソーシング (クラウドワークス、ランサーズ)、家事代行シェア
お金資金クラウドファンディング (CAMPFIRE、Makuake)、ソーシャルレンディング

これらはほんの一例であり、様々な分野で新しいシェアリングサービスが登場しています。

シェアリングエコノミーのメリット

シェアリングエコノミーは、個人、社会、環境にとって多くのメリットをもたらします。

経済的なメリット

  • 利用者:
    • モノやサービスを安価に利用できる(購入するより安い場合が多い)。
    • 多様な選択肢から選べる。
    • 維持費や保管場所が不要。
  • 提供者:
    • 遊休資産を活用して収入を得られる
    • 副業や新たなビジネスチャンスになる。
  • 社会全体:
    • 新たな雇用やビジネスが創出される。
    • 既存資産の有効活用による経済効率の向上。

社会的なメリット

  • 地域活性化: 観光客と地域住民の交流(民泊)、地域資源の活用(駐車場シェアなど)。
  • コミュニティ形成: サービスを通じた利用者と提供者の交流、信頼関係の構築。
  • 多様な働き方の実現: スキルシェアなどによる柔軟な働き方。
  • 相互扶助: 困りごとを解決し合う仕組み(家事代行、育児シェアなど)。

環境的なメリット (SDGs・脱炭素との関連)

  • 資源の有効活用: モノを共有することで、大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却に貢献。新品の生産に必要な資源やエネルギーを削減できる。
  • CO2排出量の削減:
    • カーシェアやシェアサイクルの利用促進により、自家用車の保有台数削減や稼働率向上が期待でき、交通分野でのCO2排出削減につながる可能性がある。
    • モノの生産抑制による製造時のエネルギー消費削減。
  • 廃棄物の削減: 不要になったモノを捨てる代わりにフリマアプリなどで再利用することで、廃棄物量を減らせる。

これらの環境メリットは、後述するSDGsやサーキュラーエコノミーの考え方とも密接に関連しています。

シェアリングエコノミーのデメリットと課題

多くのメリットがある一方で、シェアリングエコノミーには解決すべき課題も存在します。

  • 安全性・信頼性の確保:
    • 提供されるモノやサービスの品質が一定でない。
    • 利用者と提供者間のトラブル(破損、盗難、事故など)。
    • 個人情報やプライバシーの保護。
    • (プラットフォームによるレビュー・評価システム、保険制度などで対応が進められている)
  • 事故・トラブル時の責任: 事故が発生した場合の責任の所在や補償が不明確な場合がある。
  • 法規制・税務の問題: 新しいサービス形態に対応した法整備や税務ルールが追いついていない場合がある(特に民泊やライドシェア)。
  • 既存産業との摩擦: タクシー業界とライドシェア、ホテル業界と民泊など、既存の事業者との競争や軋轢が生じることがある。
  • プラットフォーマーへの依存: 利用者・提供者ともに特定のプラットフォーム企業への依存度が高まり、手数料やルール変更の影響を受けやすい。
  • デジタルデバイド: スマートフォンやインターネットを使えない人がサービスを利用できない情報格差の問題。

これらの課題に対して、プラットフォーム事業者、政府、利用者が協力し、ルール整備や技術開発を進めていく必要があります。

シェアリングエコノミーとSDGs・脱炭素の関係

シェアリングエコノミーは、持続可能な社会を目指すSDGsの達成に貢献する可能性を秘めています。

  • ゴール8: 働きがいも経済成長も: 新たな収入機会の創出、柔軟な働き方の提供。
  • ゴール11: 住み続けられるまちづくりを: 交通渋滞の緩和(カーシェア)、地域資源の有効活用、コミュニティの活性化。
  • ゴール12: つくる責任 つかう責任: まさに中心的なテーマ。資源の有効活用廃棄物の削減持続可能な消費パターンへの転換を促進。
  • ゴール13: 気候変動に具体的な対策を: CO2排出量の削減(生産抑制、交通効率化)に貢献。

特にゴール12「つくる責任 つかう責任」においては、モノを所有するのではなく共有・利用するという考え方が、大量生産・大量消費モデルからの脱却を促し、持続可能な消費と生産 (SCP) を実現する上で重要な役割を果たします。脱炭素社会の実現に向けても、資源効率の向上やエネルギー消費の抑制といった観点から貢献が期待されます。

シェアリングエコノミーとサーキュラーエコノミーの関係

シェアリングエコノミーは、サーキュラーエコノミー(循環経済) を実現するための重要な要素の一つとしても注目されています。サーキュラーエコノミーは、廃棄物を出さずに資源を循環させ続ける経済システムを目指す考え方です。

シェアリングは、製品の寿命を延ばし(多くの人で共有して長く使う)、稼働率を高め(使われない時間を減らす)、廃棄物を減らす(捨てる代わりに共有・再利用する)ことに貢献するため、資源を効率的に循環させるサーキュラーエコノミーのループを強化する役割を果たします。

まとめ:シェアリングエコノミーの未来と賢い利用

シェアリングエコノミーは、インターネットとスマートフォンの普及を背景に急速に拡大し、私たちの生活や経済、そして社会のあり方を変えつつあります。遊休資産を有効活用することで、経済的なメリットだけでなく、資源の有効活用やCO2削減といった環境面での貢献も期待されています。

一方で、安全性や法整備などの課題も残されており、持続可能な形で発展していくためには、ルール作りや信頼性を高める仕組みづくりが不可欠です。

私たち消費者は、シェアリングサービスを賢く利用することで、コストを抑えながら豊かな生活を送るとともに、環境負荷の低減やSDGsの達成に貢献することができます。利用する際には、サービスの規約やレビューをよく確認し、トラブルに注意しながら、この新しい経済の形と上手に付き合っていくことが大切です。

今後、シェアリングエコノミーがどのように進化し、私たちの社会をより持続可能なものにしていくのか、注目していきましょう。

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