【専門家解説】2025年参院選、各党の政策をSDGsの視点で徹底比較!持続可能な未来を選ぶのは誰か?①(ジェンダー、貧困など)

脱炭素とSDGsの知恵袋の編集長、日野広大です。私たちのメディアは、政府の「ジャパンSDGsアワード」で表彰された知見を活かし、持続可能な社会の実現に向けた情報を発信しています。今回は2025年の参議院議員選挙を前に、主要政党が掲げる政策をSDGs(持続可能な開発目標)という世界共通のモノサシで読み解いていきます。

物価高、少子化、政治不信。私たちの暮らしに直結する課題に対し、各党はどのような処方箋を描いているのでしょうか。一見するとバラバラに見えるこれらの政策も、SDGsの視点で見ると、私たちが目指すべき未来の形――「誰一人取り残さない」社会の実現――にどう繋がるのかが見えてきます。この記事が、あなたの一票の価値を再発見し、未来を選択する一助となれば幸いです。

この記事のポイント

  • 2025年参院選の4つの主要争点をSDGsの目標と関連付けて解説
  • 各党の政策が、持続可能な社会の実現にどう貢献するのかを専門家視点で分析
  • 国民一人ひとりが、未来のためにどう投票と向き合うべきかを提案
目次

2025年参院選、なぜSDGsの視点が重要なのか?

選挙は、国の未来の方向性を決める重要な機会です。そしてSDGsは、2030年までに達成すべき世界の目標であり、いわば「未来の設計図」です。各党の政策が、この設計図に沿っているのかをチェックすることは、私たちの暮らしを持続可能なものにするために不可欠です。

例えば、目の前の物価高対策だけに注目するのではなく、「その政策は、食料の安定供給(SDG 2: 飢餓をゼロに)や、格差の是正(SDG 10: 人や国の不平等をなくそう)に長期的に貢献するのか?」という視点を持つことが重要になります。

争点1:物価高対策と「貧困をなくそう」(SDG 1, 10)

物価高は、特に低所得者層の生活を直撃し、格差を拡大させる深刻な問題です。これは「SDG 1: 貧困をなくそう」や「SDG 10: 人や国の不平等をなくそう」に直結します。

  • 野党の主張(立憲民主党、日本維新の会、日本共産党など): 食料品への消費税減税や、消費税そのものの引き下げを掲げています。これは、即効性のある家計支援策として、日々の生活に苦しむ人々にとっては直接的な助けとなります。特に食料品という生活必需品への対策は、SDG 2の観点からも重要です。
  • 与党の主張(自民党、公明党など): ガソリン代や電気・ガス料金の支援、減税と給付の組み合わせを主張しています。エネルギー価格の高騰は企業の生産コストにも影響し、巡り巡って物価全体を押し上げるため、的を絞った支援策と言えます。

【編集長解説】
どちらの政策も重要ですが、SDGsの視点では「持続可能性」が問われます。消費税減税は幅広い層に恩恵がある一方、日本の社会保障制度(SDG 3: すべての人に健康と福祉を)を支える重要な財源でもあります。恒久的な減税は、将来世代への負担増に繋がる可能性も考慮せねばなりません。
重要なのは、短期的な痛み止め(対症療法)と、賃上げや生産性向上といった経済の体質改善(根本治療)をどう組み合わせるかです。「インフレに勝つ手取り」を目指す国民民主党の主張は、この点に着目したものと言えるでしょう。

争点2:少子化対策と「質の高い教育」・「ジェンダー平等」(SDG 4, 5)

日本の急速な少子化は、経済社会の持続可能性を揺るがす最大の課題の一つです。各党、子育て支援策を打ち出していますが、これは「SDG 4: 質の高い教育をみんなに」や、女性に偏りがちな育児負担の軽減という点で「SDG 5: ジェンダー平等を実現しよう」に深く関わります。

  • 各党の主な政策:
    • 日本維新の会: 「教育の無償化」から一歩進んだ「子育ての無償化」を提唱。
    • 立憲民主党: 給食の無償化や、教材費など「隠れ教育費」の負担軽減。
    • 公明党・国民民主党: 児童手当の拡充。
    • 自民党: ライフステージに応じた切れ目のない支援。

【編集長解説】
経済的支援の拡充は非常に重要です。しかし、SDGs達成の観点からは、もう一歩踏み込んだ議論が必要です。なぜ子供を産み育てにくいのか?その根源には、長時間労働や男女間の役割分業意識といった課題があります。
例えば、男性の育児休業取得を当たり前にする社会システムの構築(SDG 5, 8)や、子育て中でもキャリアを諦めずに済む柔軟な働き方の推進がなければ、根本的な解決には至りません。「ライフステージに応じた支援」が、こうした構造的な問題の解決にまで踏み込めるかが、政策の実効性を測る鍵となります。

争点3:女性活躍と「働きがい」・「ジェンダー平等」(SDG 5, 8)

「女性活躍」は、単なる努力目標ではなく、経済成長のエンジンであり、社会の公正さを示す指標です。「SDG 5: ジェンダー平等を実現しよう」と「SDG 8: 働きがいも経済成長も」の中心的なテーマです。

  • 各党の主な政策:
    • 立憲民主党: 「同一『価値』労働同一賃金」の実現。
    • 日本維新の会: 女性雇用率などに応じた政策減税。
    • 国民民主党: 出産後の所得が減る「母の罰」の解消。
    • 共産党、自民党、公明党: 男女間の賃金格差是正に向けた様々な支援。

【編集長解説】
2025年6月に発表されたジェンダーギャップ指数で、日本は146カ国中118位と依然として低迷しています。特に「経済」と「政治」分野の遅れが深刻です。
各党が掲げる「賃金格差の是正」は急務です。特に立憲民主党の「同一『価値』労働同一賃金」は、性別によって職種が偏る中で、社会的な重要性が同等な仕事には同等の賃金を支払うべきという、欧州などで議論が進む先進的な考え方です。
また、日本維新の会が提唱するインセンティブ(政策減税)は、企業の自主的な取り組みを促す上で有効な手段となり得ます。私たちが企業様のSDGsコンサルティングを行う現場でも、こうした具体的なメリットが改革の推進力になるケースを多く見てきました。

争点4:政治改革と「平和と公正」(SDG 16)

政治への信頼なくして、持続可能な社会の実現に向けた国民的な協力は得られません。「裏金問題」をきっかけに注目される政治改革は、「SDG 16: 平和と公正をすべての人に」が目指す、実効的で責任ある、透明性の高い制度の構築そのものです。

  • 各党の主な政策:
    • 自民党: 政策活動費の透明性確保。
    • 立憲民主党: 企業・団体献金の禁止。
    • 日本維新の会・国民民主党: 旧文通費の公開や政策活動費の廃止。

【編集長解説】
「政治とカネ」の問題は、一部の政治家の問題ではなく、政治システム全体の課題です。SDG 16は、あらゆるレベルでの腐敗や贈収賄を大幅に減少させることを目標に掲げています。
各党のスタンスには明確な違いがあります。「透明性の確保」で良しとするのか、金の流れそのものを断つ「廃止」や「禁止」にまで踏み込むのか。この違いは、政治のあり方をどう変えたいのかという根本的な姿勢の差を示しています。有権者としては、どのレベルの改革が政治への信頼回復に繋がるのかを、厳しく見極める必要があります。

まとめ:あなたの一票が創る、持続可能な日本の未来

ここまで見てきたように、参院選で語られる政策は、すべてSDGsという未来の設計図に繋がっています。

  • 物価高対策は、目の前の生活を守るだけでなく、格差のない社会 (SDG 1, 10) を築けるかどうかの問題です。
  • 少子化対策は、質の高い教育 (SDG 4)ジェンダー平等 (SDG 5) の実現なくして成功はありません。
  • 女性活躍は、公正な社会 (SDG 5)持続的な経済成長 (SDG 8) の両輪です。
  • 政治改革は、全ての政策の土台となる信頼と公正 (SDG 16) を取り戻すための戦いです。

選挙は、政党や候補者を選ぶだけの行為ではありません。私たちがどのような社会に住み、どのような未来を子供たちに残したいのかを意思表示する、最も身近でパワフルなアクションです。

ぜひ、各党の公約を「SDGsの視点」で読み解き、ご自身の考えと照らし合わせてみてください。その一票が、より公正で持続可能な日本を創るための、確かな一歩となるはずです。


執筆:脱炭素とSDGsの知恵袋 編集長 日野広大 参考資料:

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