こんな人にオススメです
- 再生可能エネルギー(再エネ)**政策の最新動向と、FIT/FIP制度の将来について知りたい方
- 「再エネ賦課金」**の負担や使途、その公平性に関心がある消費者
- メガソーラーの環境問題(生態系破壊、災害リスク)と、SDGs目標7, 13, 15との関係を理解したい方
- 太陽光発電事業に関わる企業や地方自治体の担当者
- 自然環境の保全と脱炭素社会の実現という両立が難しい課題について考えたい方
皆さん、こんにちは!「脱炭素とSDGsの知恵袋」編集長の日野雄大です。
大きなニュースが入ってきました。政府・自民党が、新規の大規模太陽光発電施設(メガソーラー)に対する電力の買い取り価格上乗せ(支援制度)を2027年度から廃止する方針を固めたという内容です。これは、東日本大震災後の「再生可能エネルギー支援制度」(FIT/FIP)の方針を根本から転換する、非常に大きな転換点と言えます。
「再エネを普及させるはずなのに、なぜ支援を廃止するのか?」と感じる方も多いでしょう。この背景には、「再エネ賦課金」という国民負担と、メガソーラーによる環境破壊や災害リスクという、SDGsを推進する上で避けて通れない深刻な課題があります。
このニュースを、SDGsの目標達成に向けた「公正なエネルギー政策」の観点から深く掘り下げていきましょう。
最新のSDGsニュース:
新規メガソーラー、電力買い取り価格上乗せ廃止へ…消費者が支払う再エネ賦課金が原資(読売新聞)https://www.yomiuri.co.jp/politics/20251213-GYT1T00351/
SDGsニュースの要約
政府・自民党は、出力1,000kW以上のメガソーラーや、10kW以上の地上設置型の事業用太陽光発電設備に対する電力の**買い取り価格上乗せ支援(FIT/FIP制度)**を、2027年度から新規事業を対象に廃止する方針を固めました。この支援制度は、東日本大震災後、脱原発の流れの中で2012年度に導入されましたが、近年、山林伐採に伴う生態系破壊や災害リスクの増大、景観悪化などが社会問題化していました。
支援制度の原資は、国民の電気料金に上乗せされる**「再生可能エネルギー賦課金(再エネ賦課金)」です。2025年度の再エネ電力の買い取り総額4.9兆円のうち、メガソーラーを含む事業用太陽光への支払いは3兆円と約6割を占め、賦課金の総額は3.1兆円に上る見込みです。政府は、発電コストの低下を背景に「支援は役目を終えた」と判断し、今後は環境影響評価(環境アセスメント)の対象を出力4万kW未満に引き下げ、厳格化**することで、野放図な拡大に歯止めをかける方針です。なお、屋根設置型や家庭用の設備への支援は継続されます。
SDGsニュースのポイント
このエネルギー政策の大きな転換は、SDGsの文脈で多くのポイントを含んでいます。
- 再エネ支援の根本的転換:
- 2012年度に導入された固定価格買い取り制度(FIT)や、その後のFIP制度による電力買い取り価格の上乗せ支援が、2027年度から新規メガソーラーを対象に廃止されます。
- 廃止対象と継続対象の明確化:
- 廃止対象は、出力1,000kW以上のメガソーラーや10kW以上の地上設置型事業用太陽光発電設備です。
- 自然環境への影響が少ない屋根設置型の事業用設備や、家庭用設備に対する支援は継続されます。
- 制度の原資は国民負担:
- 買い取り費用の一部は、**「再エネ賦課金」**として国民の電気料金に上乗せされており、これが原資となっています。
- 巨額な国民負担と事業用太陽光の割合:
- 2025年度の再エネ電力の買い取り総額は4.9兆円、そのうち3.1兆円が再エネ賦課金となる見込みです。
- 事業用太陽光(メガソーラー含む)への支払いは3兆円と、全体の約6割を占めています。
- 社会問題化する環境リスクへの対応:
- メガソーラー建設に伴う生態系破壊、森林伐採による災害リスクの増大、景観悪化などが社会問題となっていました。
- 環境アセスの厳格化:
- 事業開始に必要な環境影響評価(環境アセスメント)の対象を、現行の出力4万kW以上から引き下げて拡大し、規制を厳格化します。
- 発電コスト低下による支援の役割終了:
- 太陽光パネルの大量生産技術などにより発電コストが大きく低下したため、「支援は役目を終えた」との判断が背景にあります。
SDGsニュースを考察
今回の政策転換は、SDGs目標7(エネルギーをみんなに、そしてクリーンに)の達成を目指す上で、目標15(陸の豊かさも守ろう)や目標13(気候変動に具体的な対策を)とどう両立させるかという、日本の抱える本質的な課題を浮き彫りにしています。
⚖️ 再エネ普及と環境保全の「トレードオフ」を是正
メガソーラーによる森林破壊や災害リスクの増大は、SDGs目標15(陸の豊かさも守ろう)に真っ向から反する問題でした。特に、国民が負担する再エネ賦課金を原資として、環境破壊につながる事業を支援し続けるという構図は、公正性の観点からも大きな矛盾を抱えていました。
今回の支援廃止と環境アセスの厳格化は、この「矛盾した支援」にようやく歯止めをかけるものです。再エネは推進しつつも、環境保全や地域社会との調和を考慮に入れた、真の持続可能な開発への転換と言えるでしょう .
💰 国民負担(賦課金)の公平性と効率化
再エネ賦課金は、2025年度の買い取り総額4.9兆円のうち3.1兆円を占め、その約6割(3兆円)が事業用太陽光に支払われています。これは、太陽光発電のコストが下がり、「支援は役目を終えた」という状況にもかかわらず、巨額な国民負担が続いていることを意味します。
SDGs目標7は「手頃な価格で、信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことを掲げています。今回の支援廃止は、国民の負担軽減と、市場価格以下でも成り立つようになった技術に対する過剰な補助金の適正化という点で、目標達成に向けたエネルギー政策の効率化に貢献します。
🏢 今後のエネルギー戦略:分散型・屋根置きへのシフト
支援が継続される屋根設置型や家庭用設備は、自然環境への影響が少なく、災害時にも役立つ分散型エネルギーシステムの中核となります。今回の政策転換は、大規模集中型から、地産地消やレジリエンス強化に貢献する分散型の再エネへ軸足を移すという、日本ならではの次世代エネルギー戦略の方向性を示唆しています。これは、スマートシティとは?ICTで実現する持続可能な都市とSDGsへの貢献で語られているような、ICTを活用した持続可能な都市づくりにも直結します。
私たちにできること
この大きな政策転換の中で、私たち一人ひとりができることは何でしょうか。
- 自宅の「屋根」を再エネ拠点にする:
- 支援が継続される家庭用設備は、環境負荷を抑えつつ、私たち自身の電気代削減にもつながります。太陽光発電や蓄電池の導入を検討し、エネルギーの地産地消を実践してみませんか。
- 再エネ賦課金の使途に関心を持つ:
- 再エネ賦課金は、私たちが支払う「未来への投資」です。賦課金が何に使われているのか、その公正性と効率性について関心を持ち、政策議論に参加していくことが大切です。
- 「環境アセス」の重要性を認識する:
- 環境アセスの厳格化は、自然環境の価値を再認識する機会です。再エネ導入の際には、単なる発電量だけでなく、生態系への影響や災害リスクも考慮した判断を企業や自治体に求める声を上げましょう。
小さな一歩が大きな変化につながります。「クリーンなエネルギー」は、「持続可能な方法」で生み出されるべきです。この原則を守りながら、脱炭素社会への道を歩んでいきましょう

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