SDGs・脱炭素の用語

【用語解説】ソーシャルビジネスとは?社会課題解決と収益を両立するビジネスモデル

概要

ソーシャルビジネスとは、社会課題の解決を目的とし、同時に事業としての収益性も追求するビジネスモデルのことです。従来の営利企業とNPOの中間に位置し、持続可能な形で社会貢献と企業価値向上の両立を目指します。

ソーシャルビジネスは、貧困、教育、医療、環境など様々な分野の社会問題に取り組みます。事業で得た利益は、さらなる社会貢献活動や事業拡大に再投資されるのが特徴です。こうしたビジネスモデルを通じて、社会課題の解決と経済発展の両方を実現することを目的としています。

近年、SDGsへの関心の高まりとともに、ソーシャルビジネスへの注目が集まっています。企業にとっては、社会的責任を果たしつつ、新たな市場開拓や イノベーションの機会にもつながります。一方、社会にとっては、行政や非営利団体だけでは解決が難しい課題に、ビジネスの力を活用して取り組むことができるのです。

企業への影響

ソーシャルビジネスへの取り組みは、企業にとって多くのメリットがあります。

まず、社会貢献活動を通じて企業イメージの向上につながります。消費者の意識の変化に伴い、企業の社会的責任への関心が高まっている中、ソーシャルビジネスへの参画は、ステークホルダーからの評価や信頼の向上に寄与します。

また、新たな市場や事業機会の創出にもつながります。社会課題の解決に向けたイノベーティブな商品やサービスの開発は、企業の競争力強化や差別化にもつながるのです。

加えて、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上も期待できます。社会的意義のある事業に携わることで、社員の仕事へのやりがいや誇りが高まり、優秀な人材の確保にもつながります。

主な事例

  1. TOMS(トムズ):「One for One」モデルで知られる米国のシューズブランド。購入された靴1足につき、開発途上国の子どもたちに1足の靴を寄付するビジネスモデルを展開。これまでに1億足以上の靴を寄付し、子どもたちの健康と教育を支援しています。
  2. グラミン銀行:バングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス氏が設立したマイクロファイナンス機関。貧困層や女性を対象に、無担保・少額の事業資金を融資することで、貧困削減と自立支援に取り組んでいます。2006年にはユヌス氏とグラミン銀行がノーベル平和賞を受賞しました。
  3. Raffaello(ラファエロ):日本の革製品ブランド。バングラデシュの工房と連携し、現地のシングルマザーや障がい者の雇用創出に取り組んでいます。また、純利益の10%を教育支援に寄付するなど、ファッションを通じた社会貢献活動を展開。「外務省ジャパンSDGsアワード」や「環境省グッドライフアワード」を受賞するなど、サステナビリティ活動が高く評価されています。

まとめ

ソーシャルビジネスは、社会課題の解決と収益性の両立を目指す新しいビジネスのカタチです。SDGsの達成に向けて企業の役割が問われる中、ソーシャルビジネスへの取り組みは、企業価値の向上につながる重要な戦略となっています。

事例で紹介したように、ファッションや金融など様々な分野で、ソーシャルビジネスの先駆的な取り組みが広がっています。社会貢献と事業成長の好循環を生み出すソーシャルビジネスは、持続可能な社会の実現に向けた有力なアプローチだと言えるでしょう。

今後、より多くの企業がソーシャルビジネスに参画し、ビジネスの力で社会課題の解決に挑戦していくことが期待されます。そうした取り組みの積み重ねが、よりよい未来の創造につながるはずです。