【徹底解説】SBTi(Science Based Targets initiative)とは?企業の脱炭素化を加速する科学的な目標設定
SBTi(Science Based Targets initiative)の概要
SBTi(Science Based Targets initiative)は、企業が科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定するための国際的なイニシアチブです。2015年にCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体によって共同で設立されました。
SBTiは、パリ協定の目標である産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えるために、企業が自社の温室効果ガス排出量を削減するための科学的根拠に基づいた目標設定を支援しています。SBTiが認定する目標は、最新の気候科学と整合性があり、企業の事業活動に伴う温室効果ガス排出量を大幅に削減することを目指しています。
企業への影響
SBTiに参加し、認定を取得することで、企業は以下のようなメリットを得ることができます。
1. 気候変動対策における企業の信頼性向上
2. 投資家や消費者からの評価向上
3. 長期的なリスク管理と機会の特定
4. イノベーションと競争力の強化
5. ステークホルダーとの関係強化
SBTiの認定を取得した企業は、自社の温室効果ガス排出量を科学的根拠に基づいて削減するための明確な目標を持つことになります。これにより、企業は脱炭素化に向けた取り組みを加速させ、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
主な事例
1. ソニーグループ株式会社
ソニーは2020年にSBTiの1.5℃目標の認定を取得しました。2025年度までにスコープ1、2の温室効果ガス排出量を2018年度比で72%削減、2035年度までにカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げています。再生可能エネルギーの導入や省エネ施策の推進などを通じて、目標達成に取り組んでいます。
2. 株式会社リコー
リコーは2017年にSBTiの2℃目標の認定を取得し、2030年までにスコープ1、2の温室効果ガス排出量を2015年比で63%削減することを目標としています。また、2050年までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指しています。省エネ活動や再生可能エネルギーの導入、サプライヤーとの協働などを通じて、目標達成に向けた取り組みを進めています。
3. 味の素株式会社
味の素は2020年にSBTiの1.5℃目標の認定を取得しました。2030年度までにスコープ1、2の温室効果ガス排出量を2018年度比で50%削減、スコープ3を24%削減することを目標としています。再生可能エネルギーの導入や省エネ活動、サプライチェーンにおける排出量削減などを通じて、目標達成に取り組んでいます。
まとめ
SBTi(Science Based Targets initiative)は、企業が科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定するための国際的なイニシアチブです。SBTiの認定を取得することで、企業は気候変動対策における信頼性を高め、投資家や消費者からの評価を向上させることができます。また、長期的なリスク管理と機会の特定、イノベーションと競争力の強化、ステークホルダーとの関係強化などのメリットも期待できます。
ソニーグループ株式会社、株式会社リコー、味の素株式会社など、多くの日本企業がSBTiの認定を取得し、脱炭素化に向けた取り組みを加速させています。今後、より多くの企業がSBTiに参加し、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定することで、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。