SDGs・脱炭素の用語

【用語解説】人権デューデリジェンスとは?企業の取り組みと課題を解説

SDGsゴールとターゲット

ゴール8:働きがいも経済成長も

ターゲット8.7 強制労働を根絶し、現代奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
ターゲット8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
人権デュー・デリジェンスを通じて、企業はサプライチェーン上の強制労働や児童労働などの人権リスクを特定・防止し、働きがいのある人間らしい仕事を促進することができます。

ゴール12:つくる責任 つかう責任

ターゲット12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
人権デュー・デリジェンスの実施と情報開示は、企業の社会的責任の重要な要素であり、持続可能な生産・消費形態の確保につながります。

概要

人権デューデリジェンスの概要

人権デューデリジェンスとは、企業活動が人権に与える負の影響を特定し、防止・軽減するためのプロセスを指します。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」で提唱され、企業に対して人権尊重責任を果たすことが求められています。具体的には、人権方針の策定、人権リスクの特定と評価、是正措置の実施、進捗状況の追跡などが含まれます。

企業への影響

人権デューデリジェンスは、企業にとって法的・道義的責任を果たすだけでなく、レピュテーションリスクの管理、ステークホルダーとの信頼関係構築、企業価値の向上にもつながります。

一方で、サプライチェーン全体での人権リスクの把握や、現地の社会課題への対応など、実践には困難も伴います。人権デューデリジェンスへの取り組みは、企業の持続可能性を左右する重要な経営課題と言えるでしょう。

主な事例

1,パタゴニアは、サプライチェーン上の人権リスクを特定・評価するため、第三者監査や現地ステークホルダーとの対話を実施しています。

児童労働や強制労働などの問題が発見された場合は、サプライヤーと協力して是正に取り組んでいます。

2.花王は、パーム油の調達における人権デューデリジェンスを強化しています。

現地のNGOと連携し、小規模農家の生活状況や労働環境の調査を行い、課題の特定と改善に努めています。また、トレーサビリティの確保にも注力しています。

3.ファーストリテイリング(ユニクロ)は、取引先工場の労働環境モニタリングを実施し、結果を公表しています。

人権リスクが高い国・地域では、現地の労働組合や市民社会との対話を通じて、労働者の権利保護に取り組んでいます。

まとめ

人権デューデリジェンスは、企業がSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」や目標10「人や国の不平等をなくそう」の達成に貢献する上で欠かせないプロセスです。

先進企業の事例からは、ステークホルダーとの協働や透明性の確保が重要であることがわかります。人権尊重を企業文化に根付かせ、事業活動に組み込んでいくことが、持続可能な社会の実現につながるのです。私たち一人ひとりも、人権に配慮した企業を応援していくことが大切ですね。