厳選!夏の終わりの国内避暑地めぐり SDGs視点で旅をさらに豊かに

脱炭素とSDGsの知恵袋、編集長の日野広大です。今回は、皆様からリクエストのあった他の避暑地についても、その魅力とサステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)の観点からご紹介したいと思います。

夏の終わりの旅は、ただ涼むだけでなく、その土地の自然や文化に触れ、未来へとつなぐ意識を持つことで、より一層深く、豊かな体験になります。

【長野県】軽井沢:洗練された文化と自然が共存する高原リゾート

みどころ
標高約1,000mに位置し、冷涼な気候と美しい木々が織りなす景観が魅力です。おしゃれなカフェやショップが並ぶ旧軽井沢銀座、アートに触れる美術館、そして野鳥のさえずりが聞こえる森の散策路など、自然と文化を同時に楽しめます。

SDGsの視点
軽井沢は、古くから多くの人々が愛した自然を守るための活動が盛んです。別荘地としての開発の歴史の中で、自然環境を守るためのナショナルトラスト運動が活発に行われてきました。これはSDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」に直結する取り組みです。また、地域の農産物を活かしたレストランも多く、地産地消目標12「つくる責任 つかう責任」)を体験できます。近年ではEVバスの実証実験など、「ゼロカーボンシティ」を目指す動きも見られます。

【長野県】上高地:神々が宿る、手つかずの自然の聖域

みどころ
「神降地」とも称される日本屈指の山岳景勝地。標高1,500m、梓川の清流と穂高連峰が織りなす絶景は圧巻です。大正池の幻想的な風景や、河童橋からの眺めは、訪れる人々を魅了し続けています。

SDGsの視点
上高地は、その貴重な自然を守るため、早くから厳しい保護政策が取られてきました。1975年から始まったマイカー規制は、日本の環境保全型観光の先駆けです。これは目標15「陸の豊かさも守ろう」における、生態系保護の先進事例と言えます。美しい自然を守り、次世代に引き継ぐための知恵と努力を、訪れることで学ぶことができます。

【栃木県】那須高原:皇室も愛した、緑豊かな癒やしの高原

みどころ
那須連山の麓に広がる、緑豊かな高原リゾート。皇室の御用邸があることでも知られています。牧場での動物とのふれあいや、新鮮な乳製品、温泉、そしてアートギャラリーなど、多彩な魅力が詰まっています。

SDGsの視点
那須エリアでは、農業と環境保全を両立させる取り組みが進んでいます。例えば、環境保全型農業を推進し、農地の水辺環境を守ることで、持続可能な農畜産業を目指しています。これは、食料の安定供給(目標2「飢餓をゼロに」)と生物多様性の保全(目標15)を両立させる試みです。地域の美味しい食材をいただくことが、こうした活動の応援につながります。

【神奈川県】箱根:火山の恵みとアートが融合する温泉郷

みどころ
都心からのアクセスも良く、年間を通して人気の観光地ですが、標高の高いエリアは夏でも比較的過ごしやすいのが特徴です。大涌谷の火山活動、芦ノ湖の絶景、そして点在する個性豊かな美術館など、見どころは尽きません。

SDGsの視点
箱根は、火山や温泉といった地球のエネルギーを体感できる「箱根ジオパーク」に認定されています。ジオパークの活動は、大地の成り立ちや自然の脅威、そしてその恵みを学び、防災や地域振興に活かすもので、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」目標11「住み続けられるまちづくりを」に貢献しています。温泉の地熱という再生可能エネルギー(目標7)の恩恵を受けながら、地球との共生を考える旅ができます。

【山梨県】清里高原:八ヶ岳の麓に広がる、爽やかな風の高原

みどころ
八ヶ岳の南麓、標高1,200m以上に広がる清里高原は、夏でも爽やかな空気に包まれています。牧場や美しい景観が楽しめる清泉寮、ハイキングコース、そして星空観察など、雄大な自然を満喫できます。

SDGsの視点
清里では、かつての開発で分断されてしまった森の生態系をつなぎ直すため、樹上動物が道路を渡れるようにする「アニマルパスウェイ」の設置といったユニークな環境再生の取り組みが行われています。これは、人間活動と野生生物の共生を目指す目標15の素晴らしい実践例です。自然との共存を考えさせられる、学びの多い場所と言えるでしょう。

【青森県】十和田・奥入瀬:神秘の湖と、生命力あふれる渓流美

みどころ
神秘的なカルデラ湖・十和田湖と、そこから流れ出る奥入瀬渓流。特別名勝および天然記念物に指定されている渓流沿いの遊歩道は、木漏れ日と清流のせせらぎに包まれ、まさに天然のクーラーです。

SDGsの視点
この地域では、豊かな自然環境を保護しつつ、観光を通じて地域経済を活性化させる「エコツーリズム」が推進されています。ガイド付きのネイチャーツアーなどに参加することで、自然の成り立ちや生態系について深く学びながら、その収益が地域の自然保護活動に還元される仕組みです。訪れることが、そのまま自然保護への貢献につながる旅が実現します。

【北海道】富良野:ラベンダーだけじゃない、夏の田園風景と食の恵み

みどころ
夏の富良野はラベンダーの印象が強いですが、8月下旬でも冷涼で快適に過ごせます。パッチワークのように美しい丘の風景、そしてメロンやトウモロコシなど、豊かな大地が育んだ旬の味覚は格別です。

SDGsの視点
富良野の美しい景観は、農業という人間の営みと自然が調和して生まれたものです。この地域では、「100年後も続く地域づくり」をテーマに、持続可能な農業と観光の両立が模索されています。観光農園を訪れたり、地元の食材を使った料理を味わったりすることは、地域の基幹産業を支え、美しい田園風景を守ること(目標11, 15)につながるのです。

目次

まとめ:あなたの旅が、未来をつくる力になる

日本各地の避暑地には、涼やかで美しい風景だけでなく、その土地の自然と人々が紡いできた「共生の物語」があります。

次の旅行では、お気に入りの場所を見つけると同時に、その土地が取り組むサステナブルな活動にも少しだけ目を向けてみませんか。私たちの旅は、楽しみや癒やしであると同時に、地域の未来を応援する力にもなるのです。


執筆:脱炭素とSDGsの知恵袋 編集長 日野広大

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次