こんな人にオススメです

• 今年の「猛暑」が経済にどう影響したか知りたい方
• 気候変動が企業の業績に関係あるのか疑問な方
• 「猛暑で売れるモノ」「売れなくなるモノ」に関心がある方
• 気候変動対策とSDGs（特にゴール13）のつながりを学びたい方
• これからの時代、企業に求められる「適応力」について考えたい方

「今年の夏も本当に暑かった…」と、毎年のように感じていませんか？実はその「猛暑」、私たちの家計だけでなく、上場企業の業績にも大きな影響を与え、しかも「儲かった企業」と「苦戦した企業」で明暗がくっきり分かれているようなんです。今回は、気候変動が経済に与えるリアルな影響と、SDGsの視点で私たちができることを一緒に考えてみましょう。

最新のSDGsニュース：

今年の「猛暑」、上場114社で「プラス効果」　前年比1.8倍に急増 (株式会社帝国データバンク) (出所: PR TIMES)

SDGsニュースの要約

帝国データバンクの調査によると、2025年の記録的な「猛暑」や「酷暑」について、影響や対応を開示した上場企業は183社にのぼりました。そのうち、売上増や新商品開発などで「プラス効果」があった企業は114社。これは、前年（63社）と比べて81.0%増、約1.8倍という急増です。特に小売業や製造業で、エアコン、飲料、冷感グッズなどの「猛暑需要」が追い風となりました。また、ショッピングセンターなどが涼しい屋内環境を「避暑」先として提供し、集客につなげた動きも目立ちます。その一方で、「マイナス効果」を受けた企業も69社あり、前年（39社）から増加。猛暑による外出控えで、飲食店やアウトドア関連の業態が苦戦するなど、気候が企業の業績を二極化させている実態が明らかになりました。

SDGsニュースのポイント

• 猛暑の影響開示企業が増加: 2025年の猛暑について情報開示した上場企業は183社。これは前年（102社）から79.4%も増加しています。
• 「プラス効果」は114社: 猛暑が追い風となった企業は114社で、前年（63社）から81.0%増と大幅に増えました。
• 好調だった業界（プラス面）:
  • 小売業 (45社): エアコンなどの空調機器、ハンディファン、夏物衣料の需要が急増しました。
  • 飲料・食品: 清涼飲料水やアイスクリームも販売増となりました。
  • 製造業 (30社): エアコン部材やボディケア製品、飲料水などが好調でした。
• 新しい需要「避暑」: 大手スーパーやショッピングセンターが、涼しい屋内施設を開放することで「避暑」需要を取り込みました。これにより滞在時間が延び、テナントの売上増にもつながったようです。
• 「マイナス効果」も増加: 一方で、マイナス影響を受けた企業も69社と、前年（39社）から76.9%増加しました。
• 苦戦した業界（マイナス面）:
  • 小売業 (28社): 特に飲食店や路面店で、猛暑による「外出控え」の影響で客数が減少しました。
  • アウトドア関連: ガーデニングやアウトドアなど、屋外活動の商材は苦戦が目立ちました。
  • 製造業 (16社): 濃厚ドリンクの需要減や、原材料高の影響を受けた食料品が苦戦しました。
• 鮮明になる「二極化」: 同じ業態でも、猛暑需要をうまく取り込めた企業とそうでない企業で差が出ました。
• 今後の懸念: 夏物需要の反動で「秋物商戦への支出が慎重」になる可能性も指摘されています。来年以降も猛暑が続けば、この二極化はさらに進むと予測されています。

SDGsニュースを考察

この記事は、私たちが肌で感じている「異常気象」が、一時的な天気の話ではなく、経済活動そのものを根本から揺さぶる「気候変動」の問題であることをはっきりと示していますね。

これはまさに、SDGsのゴール13「気候変動に具体的な対策を」が、環境問題であると同時に、深刻な経済問題でもあるという証拠です。

「猛暑」という気候変動リスクに対し、エアコンや冷感グッズで「適応」し、ビジネスチャンスに変えた企業（プラス効果）がある一方で、従来のビジネスモデル（例えば、夏の屋外レジャーや路面店の飲食）が通用しなくなり、打撃を受けた企業（マイナス効果）がある。この「二極化」 は、これからの企業経営において、気候変動への「適応力」がいかに重要かを示しています。

特に興味深いのは、ショッピングセンターの「避暑」需要の取り込み です。これは単なるモノ売りではなく、「涼しくて快適な空間と時間」というサービスを提供することで、新しい価値を生み出しています。これからのサステナビリティ経営には、こうした柔軟な発想が不可欠になっていくでしょう。

しかし、手放しでは喜べません。猛暑の根本原因である地球温暖化対策、つまりカーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを加速させなければ、来年以降もさらに深刻な猛暑が経済を直撃する ことになります。

私たちにできること

このニュースは、「消費者」であり「生活者」である私たちにも、2つの行動を問いかけていると私は感じました。

1. 根本対策：「気候変動」の進行を遅らせる
猛暑は「適応」するだけでなく、その原因を「緩和」しなければなりません。私たちがパリ協定の目標を達成するため、家庭でできることはたくさんあります。

• エアコンの温度を適切に設定する。
• 使わない電化製品のプラグを抜く。
• エネルギー効率の高い家電を選ぶ。
  こうした日々の省エネ行動が、未来の猛暑を少しでも和らげる一歩になります。

2. 賢い消費：「適応」と「応援」のバランス
猛暑の中で快適に過ごす工夫は必要です。冷感グッズや飲料を買うこともあるでしょう。その際も、本当に必要なものか、長く使えるものか、環境に配慮されているか、といったサステナブル消費（持続可能な消費）の視点を持つことが大切です。
同時に、猛暑で苦戦している地元の飲食店やアウトドア施設 もあります。涼しい時間帯を選んで利用したり、テイクアウトを活用したりするなど、意識的に「応援」することも、地域の経済を守るために私たちができる行動ではないでしょうか。

気候変動は、もはや他人事ではありません。企業も私たち個人も、この「新しい日常」にいかに賢く適応し、そして根本原因に立ち向かっていくか。その行動が試されていますね。

---