こんな人にオススメです
- サーキュラーエコノミーって具体的に何?と気になっている方
- SDGs経営や企業の環境対策に関心があるビジネスパーソン
- 環境に配慮した企業の商品を選びたい、応援したいと考えている方
- ゼロウェイストやサステナブル消費といったキーワードに興味がある方
みなさん、こんにちは!「SDGsの知恵袋」編集長の日野です。ブラジルでCOP30(国連気候変動枠組み条約締約国会議)が開催されていますが、そこで非常に重要な発表がありました。
それは、企業が「どれだけ資源をムダなく、うまく循環させて使っているか?」を測るための、世界で初めての共通ルール(ものさし)が誕生したというニュースです。これ、実は私たちのサステナブル消費や、企業のサステナビリティ経営にとって、ものすごい「ゲームチェンジャー」になるかもしれないんです。詳しく見ていきましょう!
最新のSDGsニュース:WBCSD and One Planet Network announce launch of the Global Circularity Protocol for business (GCP) at COP30
(ソース:WBCSD 2025年11月11日)
https://www.wbcsd.org/news/wbcsd-and-one-planet-network-announce-launch-of-the-global-circularity-protocol-for-business-gcp-at-cop30/
SDGsニュースの要約
2025年11月11日、ブラジルで開催中のCOP30にて、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)と国連環境計画(UNEP)が主導するOne Planet Networkが、「GCP(グローバル循環性プロトコル)」の正式な立ち上げを発表しました。これは、企業が自社のサーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組み度合いやその影響を、「測定・管理・伝達」するための、世界初となる自主的なグローバル枠組みです。このGCPは、80以上の組織から150人以上の専門家が参加して開発されました。企業が廃棄物やCO2排出量を削減し、説明責任を果たしながら業績を向上させるための、標準化された指標を提供します。分析によれば、このGCPが広く普及すると、2050年までに最大1200億トンの資源節約と、76ギガトンのCO2排出削減が可能になると試算されています。
SDGsニュースのポイント
「GCP」という新しい言葉が出てきましたが、私たちの生活にも深く関わるポイントがたくさんあります。身近な視点で整理してみましょう。
- 世界共通の「ものさし」が誕生: 企業が「どれだけ資源を循環させているか(=循環性)」を測る、世界で初めての共通ルール(GCP)がCOP30で発表されました。
- 「なんとなくエコ」はもう終わり?: これまで、サーキュラーエコノミーへの取り組みは企業ごとにバラバラでした。GCPは、科学的根拠に基づいた「共通の基準」で、それを測れるようにするものです。
- 作ったのはスゴイ専門家たち: WBCSDや国連(UNEP)をはじめ、80以上の組織と150人以上の専門家が協力して開発しました。
- 企業のメリットは?: 廃棄物を減らし、CO2排出も削減できる(カーボンニュートラルにつながりますね)だけでなく、業績向上にもつながるとされています。
- 「説明」できるようになる: 企業はGCPを使うことで、投資家や私たち消費者に対して、「ウチはこれだけ環境に配慮しています」と、信頼できるデータで説明できるようになります(説明責任)。
- GCPが広まったらどうなる?: ここが一番の注目ポイントです! 2050年までに、最大1200億トンの資源を節約し(これは今の世界の年間消費量1年分に相当!)、最大76ギガトンのCO2を削減できる(今の世界の年間排出量の1.5倍!)可能性があるそうです。
- すでに大企業がテスト中: フィリップス(医療)、トムラ(資源回収)、ヴァーレ(鉱業)といった、資源を多く使う業界のリーダー企業が、すでに試験的に導入しています。
- 「循環はもはや必需品」: WBCSDのトップは「循環性はもはやオプション(選択肢)ではなく、企業の存続と地球の健康にとって戦略的な必需品だ」と強く語っています。
- 世界の課題解決にも: このGCPは、資源不足、サプライチェーンの不安定さ、気候変動といった、世界が直面する大きなリスクに対応するための解決策でもあるんです。
SDGsニュースを考察
「GCP(グローバル循環性プロトコル)」の登場、これは本当に「ついに来たか!」という感じです。編集長として、私はこれがSDGs、特にGoal 12「つくる責任 つかう責任」を達成する上で、決定的な一歩になると感じています。
これまで、サーキュラーエコノミー(循環型経済)は「大事だよね」とは言われつつも、一番の課題は「結局、どの企業がどれくらい本気でやっているのか、よくわからない」ことでした。A社が「エコです」と言っても、B社が「サステナブルです」と言っても、その基準がバラバラだったんですね。
GCPは、その「よくわからない」を解決する「世界共通のものさし」です。
企業にとっては、SDGs経営やサステナビリティ経営の成果を、客観的な「数字」で示せるようになります。これは、トレーサビリティ(製品がいつどこでどう作られたか追跡すること)を確保し、サプライチェーン全体でのサステナブル調達(環境や人権に配慮した仕入れ)を進める上でも、強力な武器になります。
そして、私たち消費者や投資家にとっても、非常に大きな意味があります。
今までは「イメージ」や「CM」で選びがちだったかもしれませんが、これからはGCPという共通のものさしで、「本当に資源を大切にし、ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)に近いのはA社かB社か」を冷静に比べられるようになるからです。
このGCPが、企業の「やったふり(グリーンウォッシュ)」を減らし、本気の取り組みを加速させる「ゲームチェンジャー」になることを心から期待したいですね。もちろん、GCPが目指す廃棄物やCO2の削減は、Goal 13「気候変動に具体的な対策を」にも直結する、非常に重要な動きです。
私たちにできること
「企業の世界基準なんて、私たちには関係ないかも?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。このGCPは、私たち一人ひとりの行動にもつながっています。
- 「賢い消費者」になる準備をする
これからは、企業が「GCP」のような信頼できる基準を使って、自社の循環性を公開しているかどうかに注目してみましょう。そうした情報をしっかり開示している企業を選ぶことこそが、私たちにできる最もパワフルなサステナブル消費(Goal 12)のアクションになります。 - サーキュラーエコノミーを「自分ごと」にする
企業だけでなく、私たち自身の生活でも「循環」を意識してみませんか? リサイクル(資源の再利用)だけでなく、モノを長く使う(リペア)、モノを共有する(シェアリングエコノミー)、そもそもゴミを減らす(ゼロウェイスト)など、できることはたくさんあります。 - 資源効率を意識する
GCPの大きな目標の一つは「資源の節約」です。私たちも、水や電気、食べ物など、日々の暮らしで使う資源を「本当にこれだけ必要?」と見直してみる。それも立派なサーキュラーエコノミーへの参加です。
企業も、私たち生活者も、同じ「ものさし」を持って「資源を大切にする」未来に向かっていけるといいですね。

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