世界の上場企業のうち米国がはるかに遅れているスコープ3の排出量報告

SDGsの知恵袋編集部の菊尾です。

今日も下記の最新のSDGsニュース記事について考察と意見をお伝えします。

MSCIのレポートによると、公開企業の約60%がスコープ1と2の排出量を開示し、40%以上がスコープ3の排出量について報告。米国企業は世界の企業に比べて気候報告で遅れ。排出削減目標の設定は増加しているものの、ペースは減速している。

タイトル: More than 40% of Public Companies Now Reporting on Scope 3 Emissions, but U.S. Lagging Far Behind: MSCI

内容

MSCIの最新レポートは、企業の温室効果ガス排出量の開示が増加していることを示しています。60%がスコープ1と2を、42%がスコープ3を報告しています。米国企業は遅れが見られますが、排出削減目標の設定は増えており、その質も向上しています。

SDGsニュースの主な要点

– 世界中の公開企業の約60%がスコープ1およびスコープ2の温室効果ガス排出量を報告しており、40%以上がスコープ3の排出量についても報告している。

– 米国企業は、気候報告において世界の企業に比べて遅れがあることが示された。

– 企業による排出削減目標の設定が増加しているが、目標の設定ペースは減速しており、科学に裏付けられた脱炭素化目標の設定が急増している。

– MSCIのネットゼロトラッカーは、企業の気候変動への進捗を評価し、「暗黙の温度上昇」指標を用いて現在および予測される排出量を地球温度の推定上昇に変換する。

– 過去2年間でスコープ1と2の排出量報告が16%ポイント増加し、スコープ3の報告はさらに速いペースで増加している。

– 気候関連の開示を義務付ける規制要件が増加し、EUを含む多くの地域で新しい開示要件が施行されている。

– SECの新気候報告規則は、報告のギャップを埋めるために有効かもしれないが、一連の法的課題により規則の実施が一時停止されている。

– 企業の52%が排出削減目標を開示し、38%がネットゼロ目標を発表しており、科学ベースの目標設定は改善している。

-上場企業の温室効果ガス排出量は横ばいであり、排出量の減少は見られない。

– 現在、上場企業は3°Cの温度上昇の道を歩んでおり、IPCCは気候変動の最悪の影響を避けるために、世界の排出量が2025年までにピークに達し、2030年までに毎年7%減少する必要があると推定している。

SDGsの知恵袋の編集部」の考察と意見

企業が温室効果ガスの排出量を公表する動きが加速しています。特に、スコープ1と2に関する報告が約60%の企業によって行われ、スコープ3の報告も増加していると、MSCIの最新レポートが明らかにしています。この傾向は、脱炭素化への道のりで企業が直面する透明性の要求と課題を浮き彫りにしています。

この報告義務の拡大は、特に中小企業の経営者やSDGs推進責任者にとって重要な意味を持ちます。資金や人材が限られる中で、持続可能性の目標に取り組む際、どのように排出量を管理し報告するかは大きな課題です。しかし、このレポートは、科学に基づいた目標設定の重要性と、それが企業のブランド価値にどのように寄与するかを示しています。具体的には、目標設定のペースは鈍化しているものの、質は向上しており、1.5°Cに沿った目標を設定する企業が増えています。

また、気候変動に関する報告の進展は、規制の増加によるものであり、特にEUでの新しい開示要件の施行が影響を与えています。これは、中小企業がグローバルな市場で競争する上での透明性がより一層求められることを意味しています。

さらに、報告書によれば、上場企業の温室効果ガス排出量はまだ減少していないものの、これらの取り組みは企業が気候変動への対応を強化するための土台を築いています。そして、企業が設定する科学に基づいた脱炭素化目標は、持続可能な経済への移行を加速させる鍵となります。

このような背景から、中小企業の経営者やSDGs推進責任者は、自社の活動がどのように全体の環境に影響を及ぼしているかを理解し、温室効果ガスの削減に向けた具体的な行動計画を策定することが重要です。これは、自社のサステナビリティを高め、将来のビジネスの機会を確保するために不可欠なステップです。企業が透明性を高め、持続可能な未来へのコミットメントを示すことで、消費者や投資家からの信頼を得ることができ、結果としてビジネスの成功に繋がるでしょう。

SDGsの知恵袋編集部 菊尾

ファッション業界として史上初の外務省ジャパンSDGsアワードを受賞した株式会社FrankPRのスタッフです。2024年現在、日本で5社しかいない外務省と環境省のSDGsアワード受賞社長である松尾真希から直接学んできた人材不足や資金不足でもできる経営実践型の脱炭素やサステナビリティの知識を生かしてお役に立てる記事を執筆してまいります。

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