こんな人にオススメです
- 再生可能エネルギーの未来に関心がある方
- 電気自動車(EV)の新しい可能性について知りたい方
- 企業のSDGsや脱炭素への具体的な取り組み事例を探している方
- スマートシティや未来のまちづくりに興味がある方
街を走る電気バスが、ただ人を運ぶだけでなく、街全体のための大きな「蓄電池」になるかもしれない。そんな未来がもうすぐそこまで来ています。太陽が出ている昼間に余った電気をバスに貯めて、みんなが電気を使う夕方のために役立てる。この賢い仕組みが、私たちの暮らしと地球の未来をどう変えていくのか、一緒に見ていきましょう。
最新のSDGsニュース:東京電力がEVバスを「蓄電所」に 電力余る昼に充電、再エネの無駄省く
(ソース:日本経済新聞 2025年10月5日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC188RO0Y5A910C2000000/
SDGsニュースの要約
東京電力ホールディングスが、路線バスなどを運行するみちのりホールディングスと協力して、電気自動車(EV)バスを「動く蓄電池」として使う、画期的なシステムをスタートさせます。これは、再生可能エネルギー、特に太陽光発電で電気がたくさん作られて余ってしまうお昼の時間帯にEVバスへ充電し、電力が不足しがちな夕方以降に備えるというもの。この仕組みによって、再生可能エネルギーを無駄なく使えるようになり、電力の安定供給にも貢献します。バス会社にとっては電気代の節約にもつながる、まさに一石二鳥の取り組み。2025年度から試験運用が始まり、将来的には全国のバス会社への展開も目指しているそうです。
SDGsニュースのポイント
このニュース、私たちの未来の暮らしに関わる大切なポイントがたくさん詰まっています。身近な視点で分かりやすく解説しますね。
- EVバスが「走る蓄電所」に:街を走るEVバスの大きなバッテリーを、電気を貯めておくための「蓄電所」として活用するというアイデアです。
- 賢い充電タイミング:太陽光発電で電気が余りやすいお昼の時間帯を狙って充電。バスの運行計画と天気予報などを連動させるのがミソですね。
- 再エネの無駄をなくす:これまで「出力抑制」として捨てられていたかもしれないクリーンな電気を有効活用。これはカーボンニュートラルの実現に向けた大きな一歩です。
- バス会社のコスト削減にも:電気料金が高い時間帯の充電を避けることで、バス会社の電気代を節約。これは電気自動車(EV)のバス導入のハードルを下げる助けになります。
- 2025年度から試験運用スタート:まずは栃木県や茨城県で実際に走る路線バスで試し、徐々に規模を200台まで拡大していく計画です。
- 大きなポテンシャル:日本バス協会は2030年までに1万台のEVバス導入を目指しており、これらが全て蓄電池になれば、その効果は北海道の年間出力抑制量をほぼ吸収できるほど大きいんです。
- 乗用車より管理しやすい:バスのバッテリーは乗用車より大容量で、運行スケジュールも決まっているため、充電をコントロールしやすいというメリットがあります。
- 未来の電力ネットワーク:このような仕組みは、未来のスマートシティにおけるエネルギーマネジメントの重要な一部となるでしょう。
SDGsニュースを考察
今回の東京電力の取り組みは、単にバスをEV化するという話にとどまらない、非常に大きな可能性を秘めていると私は考えています。ここがポイントです。
このニュースは、SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、そして目標13「気候変動に具体的な対策を」に深く関わっています。
これまで再生可能エネルギーの課題は、天候によって発電量が変動する「不安定さ」でした。晴れた日の昼間は電気が余るのに、夕方になると足りなくなってしまう。この「ミスマッチ」を解消するために、これまでは大規模な蓄電施設が必要だと考えられてきました。
しかし、今回の取り組みは「街にあるものを賢く使おう」という発想の転換が素晴らしいですね。路線バスは日中、車庫で待機している時間も少なくありません。その「すきま時間」と「バッテリー容量」を、街全体のエネルギー調整のために活用する。これは、車を単なる移動手段(Mobility)ではなく、エネルギー社会の重要な一部(Grid Asset)と捉える「V2G(Vehicle to Grid)」という考え方そのものです。
この仕組みが普及すれば、再生可能エネルギーをもっと安心して導入できるようになります。それは、私たちの社会が化石燃料への依存から脱却し、クリーンなエネルギーで成り立つ未来への大きな一歩と言えるでしょう。
私たちにできること
「なんだか大きな話で、自分には関係ないかな?」と思うかもしれません。でも、そんなことはないんです。この未来のまちづくりに、私たち一人ひとりも参加できます。
- 公共交通機関を応援しよう:EVバスが活躍する未来は、私たちがバスや電車などの公共交通機関を積極的に利用することで後押しされます。環境に優しい移動を選ぶことが、こうしたイノベーションを支える力になります。
- 電気の使い方を工夫してみる:家庭でも、電気の消費が集中する夕方の時間帯を避けて家電のタイマー機能を活用するなど、少し意識するだけで電力のピークシフトに貢献できます。詳しくは「エネルギー効率とは?高めるメリットと家庭・企業でできる省エネ方法」の記事も参考にしてみてください。
- 企業のSDGs活動に注目する:今回のような先進的な取り組みを進める企業を、消費者として応援することも大切です。商品やサービスを選ぶときに、その企業の環境への姿勢を少し気にしてみる。それが、社会を良い方向に動かす一票になります。
私たちの便利な暮らしを支えるバスが、地球の未来も支えるヒーローになる。そんなワクワクする社会を、日々の小さな選択から一緒に作っていきませんか?
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