SDGsの知恵袋編集部の菊尾です。
今日も下記の最新の脱炭素やSDGsのニュース記事について考察と意見をお伝えします。
スイスのクライムワークス社が、世界最大規模の直接空気回収プラント「マンモス」の運用を開始しました。年間最大36,000トンのCO2を大気から除去し、永久地下貯蔵するこの施設は、炭素除去技術の重要な進展です。
Contents
今回解説する脱炭素・SDGsニュース:Climeworks Starts Up Largest-Ever DAC Carbon Removal Plant
ニュースの内容
スイスのクライムワークス社が、世界最大の直接空気回収プラント「マンモス」を稼働開始。年間36,000トンのCO2除去と地下貯蔵が可能です。
SDGsニュースの主な要点
– スイスに本社を置くクライムワークスが、世界最大の直接空気回収(DAC)プラント「マンモス」を稼働開始しました。
– マンモスプラントは、年間最大36,000トンのCO2を大気から除去し、地下に永久にCO2貯蔵する能力があります。
– このプラントは、クライムワークスの2030年までのメガトン規模、2050年までのギガトン規模の炭素除去目標の一環です。
– DAC技術は、IEAによってネットゼロエネルギーシステムへの移行の主要な炭素除去オプションとして評価されています。
– 以前の4,000トン規模のDAC施設「オルカ」と比較して、マンモスはその規模を大幅に拡大しています。
– クライムワークスは、複数のDACプロジェクトに参加中で、アメリカのメガトンハブ開発にも関与しており、公的資金も得ています。
「SDGsの知恵袋の編集部」の考察と意見
今日はクライムワークスの最新ニュースについて解説させていただきます。
スイスのスタートアップ企業クライムワークスが、アイスランドで史上最大の直接空気回収(DAC)プラント「マンモス」の稼働を開始しました。DACとは大気中のCO2を直接吸収・回収する技術のことで、気候変動対策として注目を集めています。
マンモスは年間最大3万6000トンものCO2を大気から除去し、地下に永久貯蔵できる能力を持っています。これは600人分のCO2排出量に相当する量です。クライムワークスは2030年までに100万トン、2050年までには10億トン規模の炭素除去能力の達成を目指しており、マンモスはその目標に向けた大きな一歩となります。
DACは国際エネルギー機関(IEA)からもネットゼロ実現の鍵を握る技術として位置づけられています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告でも、気温上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオにはDACによる大規模な炭素除去が不可欠とされています。
クライムワークスは2009年の設立以来、DACのリーディングカンパニーとしての地位を築いてきました。2021年には年間4000トンのCO2を回収するオルカプラントを稼働。マンモスはそれをはるかに上回る規模です。
マンモスの稼働にはアイスランドの企業との連携が欠かせません。回収したCO2を地下に貯留するCarbfix社、地熱発電による再エネ電力を供給するON Power社などです。火山国アイスランドの地質はCO2貯留に最適で、豊富な地熱資源もDACに必要な電力を賄えます。
クライムワークスはマンモスの経験を生かし、さらに大規模なプラントの建設を進めています。米エネルギー省の支援を受けたメガトン級のプロジェクトにも参画中です。
創業者のヤン・ヴルツバッハー氏は「マンモスの稼働は我々の目標達成への新たな証しだ」と語りました。実際のプラント運用で得た知見を研究開発にフィードバックし、DACの最適化と成熟化を加速させると意気込みを見せています。
DACはまだコストや技術面での課題も多いですが、気候変動対策の切り札として大いに期待されています。日本企業もこうした世界の動向を注視し、脱炭素とSDGsの実現に向けて積極的に取り組んでいく必要がありそうです。