カリフォルニア州、大手石油会社のグリーンウォッシングを告発

SDGsの知恵袋編集部の菊尾です。

今日も下記の最新の脱炭素やSDGsのニュース記事について考察と意見をお伝えします。

カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は、大手石油会社の環境虚偽広告を巡る訴訟で、不正に得た利益の押収を目指すと発表しました。州法AB1366に基づき、利益は消費者詐欺被害者賠償基金に使われる予定です。エクソンモービルやシェルなどが対象となり、気候変動への影響を隠蔽したとして追及されています。

今回解説する脱炭素・SDGsニュース:California Seeks to Seize Big Oil Companies’ Profits in Climate Greenwashing Suit

ニュースの内容

カリフォルニア州の司法長官は、大手石油会社が環境虚偽広告で得た利益を押収する訴訟を起こしました。エクソンモービルやシェルなどが対象で、化石燃料の気候変動への影響を隠蔽していたとされます。利益は消費者詐欺被害者のために使われる予定です。

SDGsニュースの主な要点

– カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は、大手石油会社の虚偽広告を巡る訴訟で、不正に得た利益の押収を目指すと発表。

– 訴訟は、エクソンモービル、シェル、シェブロン、コノコフィリップス、BPが対象。

– 企業が1960年代から気候変動と化石燃料の関連を認識していたにもかかわらず、影響を否定し疑念を抱かせる「気候欺瞞キャンペーン」を展開していたとされる。

– カリフォルニア州法AB1366を適用し、虚偽広告による不正利益を消費者詐欺被害者賠償基金に預け入れることが義務付けられる。

– 訴訟には、企業によるグリーンウォッシングの事例が含まれており、環境に優しいと誤解を招く宣伝をしていたと指摘。

– エクソンは「シナジー」燃料を「クリーン」と宣伝し、シェブロンは「テクロン」添加剤を排出量削減と関連付けて宣伝していた。

– ボンタ司法長官は、大手石油会社の継続的な虚偽広告を非難し、カリフォルニアの人々に利益をもたらすために、不正な利益を取り戻すと述べた。

– シェルは声明で、気候変動問題は法廷で扱うべきではなく、政府の政策と全セクターの行動が解決策を導くと主張。

SDGsの知恵袋の編集部」の考察と意見

カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官が大手石油会社に対して起こした気候変動グリーンウォッシング訴訟について、企業のSDGs活動や脱炭素に関心のある読者の皆様にわかりやすくお伝えしたいと思います。

カリフォルニア州は2023年9月、エクソンモービル、シェル、シェブロン、コノコフィリップス、BPの5社を相手取り、気候変動の影響を何十年にもわたって意図的に隠蔽し、化石燃料の危険性について一般市民を欺いてきたとして訴訟を起こしました。ボンタ司法長官は今回、この訴訟を修正し、これらの企業が不正に得た利益の押収を目指すことを明らかにしました。

訴状によると、石油各社は1960年代から自社の化石燃料が気候変動を引き起こすことを認識していたにもかかわらず、長年にわたって気候科学を否定し、化石燃料の影響について疑念を抱かせるキャンペーンを展開してきたとのことです。さらに、企業は現在も自社製品や事業を「クリーン」「グリーン」などと宣伝する「グリーンウォッシング」を行い、気候変動の解決に貢献しているかのように装っていると主張しています。

この訴訟は、2023年に可決されたカリフォルニア州法AB1366に基づいています。AB1366は、不正競争や虚偽広告によって得た利益の返還を司法長官に認める法律です。もし裁判所が石油会社に違反があったと認定し利益の返還を命じれば、それらの資金は消費者詐欺の被害者への賠償に充てられることになります。

シェルは、気候変動の問題は法廷ではなく政府の政策とあらゆるセクターの行動で解決すべきだと反論しています。一方、ボンタ司法長官は「大手石油会社は嘘と虚偽で私たちを騙し続けており、それを容認しない」と述べ、訴訟を積極的に進める構えを見せています。

この訴訟は、企業の気候変動対策や脱炭素への取り組みに対する社会の厳しい目を反映したものと言えるでしょう。SDGsや脱炭素を標榜する企業は、自社の主張と実際の行動に乖離がないか今一度確認する必要がありそうです。

帝国データバンクの調査によると、中小企業の半数は資金や人材の不足からSDGsに取り組めていないそうです。一方で、7割の企業がSDGsの効果を実感しているとのこと。SDGsや脱炭素への取り組みは、企業の社会的責任として欠かせないものになりつつありますが、その実践には課題も多いのが実情のようです。大企業の不正を正すことも重要ですが、中小企業が取り組みを進められるような支援の拡充も求められるでしょう。

いかがでしょうか。カリフォルニア州の訴訟をきっかけに、企業の気候変動対策への社会の目はますます厳しくなっていくと思われます。私たちSDGsの知恵袋としても、皆様に正確な情報をお届けし、日本企業のSDGs推進を応援していきたいと考えています。

SDGsの知恵袋編集部 菊尾

ファッション業界として史上初の外務省ジャパンSDGsアワードを受賞した株式会社FrankPRのスタッフです。2024年現在、日本で5社しかいない外務省と環境省のSDGsアワード受賞社長である松尾真希から直接学んできた人材不足や資金不足でもできる経営実践型の脱炭素やサステナビリティの知識を生かしてお役に立てる記事を執筆してまいります。

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