こんな人にオススメです
- ビル・ゲイツ氏の「心変わり」のニュースが気になっている方
- 気候変動対策の「緩和策」と「適応策」の違いがよくわからない方
- 「気候変動は本当に危機なの?」と疑問に思っている方
- SDGs経営やサステナビリティの最新動向を知りたいビジネスパーソン
みなさん、こんにちは!「SDGsの知恵袋」編集長の日野です。いやあ、ちょっと驚きのニュースが飛び込んできました。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が、これまで強く訴えてきた気候変動対策の戦略を「転換」すると表明し、世界で「上を下への大騒ぎ」になっているんです。
これまで世界の気候変動対策をリードしてきた一人であるゲイツ氏が、COP30を前に「CO2削減(緩和策)よりも、気候変動の影響に備えること(適応策)を重視すべき」と発言しました。これは[SDGsとは?(https://franksdgs.com/sdgs-sustainable-development-goals-explanation/)の観点からも、非常に大きな議論を呼んでいます。一体どういうことなのか、一緒に見ていきましょう。
最新のSDGsニュース:ビル・ゲイツが気候危機説の否定に君子豹変して界隈はてんやわんや
(ソース:アゴラ 2025年11月13日)
https://agora-web.jp/archives/251112083318.html
SDGsニュースの要約
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が、10月末に自身のブログで気候変動戦略の転換を表明し、大きな波紋を広げています。COP30を前に、ゲイツ氏は「気温の上昇を抑える目標」よりも、「異常気象に適応し、健康状態を改善すること」に焦点を当てるよう世界の指導者に呼びかけました。ゲイツ氏は「気候変動は深刻だが、文明を終わらせるものではない」と述べ、健康や繁栄を強化して気候への耐性を高める方が効果的だと主張しています。この「豹変」に対し、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授らが「無意味だ」と猛批判する一方、コペンハーゲン・コンセンサス研究所のビョルン・ロンボルグ博士は「素晴らしいし勇気がある」と称賛するなど、専門家の間でも賛否両論、まさに「てんやわんや」の状態です。記事の筆者(藤枝氏)は、カーボンニュートラルなどの「緩和策」よりも、水害対策などの「適応策」を重視すべきという持論を持っており、ゲイツ氏の現実路線への転換を歓迎しています。
SDGsニュースのポイント
このニュース、なかなか衝撃的ですよね。私たちのSDGsへの取り組みにも関わる、重要なポイントを整理してみましょう。
- ゲイツ氏の戦略転換: これまでの「CO2削減(緩和策)」中心から、「異常気象への対応(適応策)」と「健康改善」を重視するよう、世界のリーダーに呼びかけました。
- 「文明は終わらない」発言: ゲイツ氏はブログで「気候変動は深刻だが、文明を終わらせるものではない」と投稿し、過度な危機論を鎮静化させようとしているように見えます。
- 世界は大論争(てんやわんや): この転換をめぐり、専門家の意見は真っ二つに割れています。
- 批判的な意見: ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)は「無意味で、混乱を招く」と厳しく批判しています。マイケル・マン教授(ペンシルベニア大学)も「憂慮すべき変化だ」と述べています。
- 称賛する意見: ビョルン・ロンボルグ博士は「素晴らしく、勇気ある発言」と称賛。「排出削減は世界の貧困層にとって最重要ではない」とし、ゲイツ氏の見解に近さを示しました。
- 元記事の筆者の見解: 筆者の藤枝氏は、以前から「適応一番、緩和は二番」と主張。無謀なカーボンニュートラル政策に巨額予算を投じるより、水害対策や都市の高台移転といった「適応策」にこそリソースを振り向けるべきだと述べています。
- 「適応策」のメリット: 緩和策(CO2削減)の効果は地球全体で薄まってしまうが、適応策(水害対策など)に投じた予算は、その地域ですべて効果として現れる、というのが筆者の主張です。
- 日本企業への呼びかけ: 筆者は、ゲイツ氏の「現実路線への転換」を、日本企業の経営者も見習うべきだと結んでいます。
SDGsニュースを考察
今回のビル・ゲイツ氏の発言は、「気候変動対策=CO2削減」と考えてきた多くの人にとって、大きな驚きだったと思います。
SDGs(持続可能な開発目標)の観点から、この問題をどう捉えればよいでしょうか。
まず大前提として、SDGsのGoal 13「気候変動に具体的な対策を」は、「緩和(Mitigation)」と「適応(Adaptation)」の両方をターゲットに含んでいます。
- 緩和(Mitigation):カーボンニュートラルを目指し、温室効果ガスの排出を削減すること。将来の被害を「予防」する取り組みです。
- 適応(Adaptation):すでに起こっている、あるいは今後起こりうる気候変動の影響(猛暑、豪雨、海面上昇など)による被害を回避・軽減すること。「今ある危機」に「備える」取り組みです。
この二つは、車の「両輪」なんです。どちらか一つで良いという話ではありません。
ゲイツ氏の発言(そして元記事の筆者の主張)は、「今まで『緩和』ばかりに注目が集まりすぎて、『適応』への投資や議論が足りなすぎたのではないか?」という強烈な問題提起だと、私は受け止めています。
確かに、カーボンニュートラルの議論は「2050年」という未来の話になりがちです。しかし、すでに世界中で、そして日本でも、猛暑による健康被害(Goal 3:健康と福祉)や、豪雨による水害で住み続けられなくなる地域(Goal 11:住み続けられるまちづくり)が現実になっています。
こうした「今、そこにある危機」から命や暮らしを守る「適応策」(防災インフラの整備、スマートシティ化による災害予測など)にもっと目を向け、リソースを割くべきだ、というゲイツ氏の主張は、非常に現実的で重要です。
ただし、「じゃあ緩和策(CO2削減)はやらなくていいの?」というと、それは違います。
「適応策」は、いわば「洪水で床に溢れた水をモップで拭く作業」です。「緩和策」は「蛇口を閉める作業」。モップで拭きながら(適応)、蛇口も閉めなければ(緩和)、いずれモップで拭ききれないほど水浸しになってしまいます。
ゲイツ氏の発言は、蛇口を閉めるのをやめようと言っているのではなく、「モップで拭く作業(適応)が全然足りてない!健康(Goal 3)が脅かされている!」という警告なのだと、私たちはバランス感覚を持って理解する必要があるでしょう。サステナビリティ経営においても、CO2削減と同時に、自社のサプライチェーンを気候変動に適応させていく「強靭化」が、今まさに求められています。
私たちにできること
この大きな議論、私たちの日々の暮らしにも置き換えることができます。
- 「緩和」と「適応」を両方やってみる
- 企業の「両輪」の取り組みに注目する
サステナビリティ経営を掲げる企業が、CO2削減(緩和)だけに注目していないか、気候変動によるリスク(適応)にどう備えているか、両方の視点で見てみることも大切です。 - 「0か100か」で考えない
気候変動の議論は「危機だ!」と「危機じゃない!」という両極端になりがちです。ゲイツ氏のように現実を直視し、「深刻だが、パニックにならず、今できる最善のバランス(緩和も適応も)を探ろう」という冷静な視点を持つことが、私たち市民にとっても重要ですね。

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