「コミヤの生物多様性に関する一考察」での衝撃的な光景
「まさに天国と地獄」——。
インターネットで話題になっている、2つの池の比較写真をご覧になりましたか?
一方は、外来種であるアメリカザリガニの駆除を始めてわずか3日目の、赤茶色に濁った泥水の池。そしてもう一方は、駆除を約300日間続けた結果、水草が生い茂り、多くの生き物が暮らす緑豊かな池。この目を疑うような光景は、YouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」で公開され、大きな反響を呼んでいます。
この驚くべき変化は、単なる「池のビフォーアフター」ではありません。これは、私たちの地球の未来を考える上で非常に重要な、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みそのものなのです。
こんな人におすすめです
- 身近な自然環境の変化に関心がある方
- 「外来種問題」がなぜ重要なのか、具体例で知りたい方
- 地域でできる環境保全活動とSDGsの繋がりを学びたい方
なぜアメリカザリガニがいると池は「地獄」になるのか?
そもそも、なぜアメリカザリガニが増えると、池は濁ってしまうのでしょうか。
環境省のWebサイトによると、繁殖力の強いアメリカザリガニは、池の水草を食べ尽くしてしまいます。すると、水草を隠れ家や産卵場所にしていた在来の小魚や昆虫、両生類は住処を失い、ザリガニに食べられてしまうのです。生態系のバランスが崩れると、水をきれいにする浄化作用も失われ、池はまたたく間に泥水と化してしまいます。
今回の活動家・小宮春平さんの動画では、わずか6時間で罠に多くのザリガニがかかっており、その深刻さが伝わってきます。
池の再生が教えてくれるSDGs「陸の豊かさも守ろう」
この素晴らしい活動は、SDGsの中でも特に重要な目標の一つ、SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」に直結しています。
この目標は、陸の生態系を守り、その損失を食い止めることを目指すものです。特に、ターゲット15.8では「2020年までに、侵略的外来種の導入を防止し、生態系への影響を大幅に軽減するための対策を導入し、優先度の高い種を制御または根絶する」と定められています。
まさに、小宮さんたちの活動は、この目標を地域レベルで実践している最高の事例です。
駆除を続けた池では、アメリカザリガニが1匹も罠にかからず、代わりにオタマジャクシが大量に入っていました。これは、ザリガニがいなくなったことで生態系が正常に循環し始め、生物多様性が回復している証拠です。つまり、いろいろな生き物がお互いに関わり合って生きる、賑やかな環境が戻ってきたのです。
自然の回復力という「希望」
わずか300日という期間で、池が劇的に姿を変えたという事実は、私たちに大きな希望を与えてくれます。
私もかつてパラオでサンゴ礁の保全活動に参加した際、人の手で外来種のオニヒトデを駆除することで、サンゴが息を吹き返す光景を目の当たりにしました。自然には本来、素晴らしい回復力が備わっています。私たち人間がその原因を取り除き、少しだけ手助けをするだけで、生態系は力強く蘇ることができるのです。
私たちの身近な自然を守るためにできること
この感動的なニュースを見て、「自分にも何かできることはないか」と感じた方も多いのではないでしょうか。大丈夫、私たちにできることはたくさんあります。
1. 知ることから始めよう
まずは、自分の住む地域にどんな生き物がいて、どんな外来種問題があるのかに関心を持つことが第一歩です。小宮さんのような活動家の情報発信を見ることも、環境について学ぶ素晴らしい機会であり、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」にも繋がります。
2. 「放さない」「拡げない」を徹底する
もしペットを飼っているなら、絶対に野外に放さないでください。アメリカザリガニも、元は人間が持ち込んだ生き物です。私たちの行動一つ一つが、生態系に大きな影響を与えることを忘れてはいけません。
3. 地域の活動に参加してみる
地域の清掃活動や、自然観察会、保全活動などに参加してみるのも良いでしょう。同じ志を持つ仲間と繋がることで、活動はさらに楽しく、大きな力になります。
まとめ:小さな池から、地球の未来が見える
一つの池の再生ストーリーは、地球全体の環境問題を考えるための縮図です。外来種の問題、生態系の破壊、そして人間の手による再生の物語。
SDGsとは何かを知り、身近な自然に目を向けること。その小さな行動の積み重ねが、失われかけた生物多様性を守り、豊かな自然を未来へと繋いでいくのです。小宮さんの言葉を借りるなら、「まあ、来年にはあっちの池もこうなっていることでしょう」。私たちも、希望を持って行動を始めませんか。
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