個人の脱炭素貢献を「見える化」!SPOBYアプリが起こす行動変容とSDGs

みなさん、こんにちは。「脱炭素とSDGsの知恵袋」編集長の日野広大です。私たちのメディアは、SDGs達成に向けた企業の取り組みが評価され、政府SDGs推進本部からジャパンSDGsアワード(外務大臣賞)を受賞したFrankPR株式会社が運営しています。その専門性を活かし、今回は「自分のエコな行動って、実際どれくらい地球のためになってるの?」という疑問に、テクノロジーで応えるスタートアップの挑戦をご紹介します。スタジオスポビーが開発したアプリ「SPOBY(スポビー)」は、私たちの日常のちょっとした選択が、どれだけのCO2削減に繋がるかを「見える化」してくれる画期的なツール。これが今、企業や自治体で広がりを見せています。個人の行動変容を促し、SDGs達成に貢献する可能性を秘めたこの取り組みを深掘りしましょう。

この記事のポイント

スタートアップ「スタジオスポビー」が開発したCO2削減貢献度「見える化」アプリ「SPOBY」。
電車から徒歩・自転車への変更、マイボトル利用などを実測値で自動計算。
企業や自治体など100を超える団体が導入、従業員や住民の脱炭素行動を促進。
「見える化」とゲーミフィケーションがもたらす行動変容の力とは?
ESG経営や健康増進にも貢献する可能性と、私たちが今日からできること。
スタジオスポビー開発「SPOBY」とは?CO2削減量を実測する革新的アプリ
日経MJ(2025年5月3日付)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC145MZ0U5A410C2000000/
によると、東京に本社を置くスタートアップ、スタジオスポビーが開発した「SPOBY」は、個人の日常行動における脱炭素への貢献度を具体的に測定し、可視化するスマートフォンアプリです。
移動手段の変更からマイボトルまで、日常の行動が脱炭素ポイントに
SPOBYの大きな特徴は、利用者の行動を自動で検知し、CO2削減量を算出する点です。

移動手段の最適化: 位置情報を常にオンにしておけば、例えば電車やバスで移動していた区間を、徒歩や自転車(直線距離で750m以上)に切り替えた場合、その差分からCO2削減量をグラム単位で自動計算し表示します。
エコアクションの記録: マイボトルを持参したり、家庭の廃食用油を回収に出したりといった行動も、撮影した写真からAIが容量などを判断し、CO2削減貢献度として数値化します。


「実測値」にこだわる強みと今後の技術アップデート
SPOBYの夏目恭行社長が「アンケート調査などではなく、実測値を厳密に計算するのが強みだ」と語るように、具体的な行動データに基づいてCO2削減量を算出する点が、他の類似サービスとの違いを際立たせています。

さらに、利便性向上のための技術改良も進められています。

スマホの携行位置の自由度向上: これまでは自転車移動の計測にはスマホをポケットに入れる必要がありましたが、揺れ解析技術の改良により、7月にもバッグや自転車の前カゴに入れた状態でも正確な自動測定が可能になる見込みです。
地下鉄移動の検知精度向上: 通信環境が不安定な地下鉄内でも、揺れや振動の解析技術を高度化し、2025年中には移動検知の精度をさらに高める計画です。

これらのアップデートにより、ユーザーはより手間なく、日常生活の中で自然に脱炭素貢献度を記録できるようになります。
企業や自治体で導入広がる!100超の団体が活用する理由【専門家解説】
SPOBYは既に120〜130の団体に導入されており、そのうち100社が企業(従業員100〜5000人規模)とのこと。2026年1月期の売上高は前期比4倍の4億円を見込むなど、「手が回らないぐらいの需要がある」という状況は、このサービスがいかに時流に乗っているかを示しています。
ESG経営と従業員の意識改革:企業にとってのSPOBY導入メリット
企業がSPOBYを導入する背景には、ESG経営(環境・社会・ガバナンスを重視した経営)への関心の高まりがあります。

企業イメージの向上: 脱炭素に積極的に取り組む企業としての姿勢を社内外にアピールできます。
従業員の環境意識向上と行動変容: 従業員一人ひとりが自らのCO2削減貢献度を具体的に知ることで、環境問題への関心を高め、日常生活での行動変容を促します。
チーム活性化とエンゲージメント向上: 記事にもあるように、チーム単位でスコアを競い合うといったゲーミフィケーション要素を取り入れることで、コミュニケーションが活性化し、組織の一体感醸成にも繋がります。これはSDGs目標8「働きがいも経済成長も」で目指す、従業員のウェルビーイング向上にも寄与するでしょう。
健康経営への貢献: 徒歩や自転車利用の促進は、従業員の健康増進(SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」)にも繋がります。

私たちFrankPRも、企業のサステナビリティ戦略策定や従業員エンゲージメントプログラムの設計支援を行っていますが、SPOBYのようなツールは、従業員を巻き込み、楽しみながら目標を達成するための有効な手段となり得ると考えています。
大阪府で130トン削減!自治体における市民参加型脱炭素の成功事例
自治体による導入事例も注目されます。大阪府では、2024年4月から2025年1月の約10ヶ月間で、SPOBYを通じて約130トンものCO2削減に貢献したといいます(登録者1万5000人以上)。内訳を見ると、自転車や徒歩での移動による貢献が115トンと大半を占め、マイボトル利用で9.9トン、廃油回収で1.9トンと、多様な行動が成果に繋がっています。

これは、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」や目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の観点からも非常に意義深い取り組みです。市民一人ひとりが地域の脱炭素化に直接参加し、その成果を共有することで、地域全体の環境意識の底上げと持続可能なまちづくりが加速されるでしょう。
なぜ「見える化」が行動を変えるのか?ナッジ理論とゲーミフィケーションの力
SPOBYの成功の背景には、「見える化」が持つ心理的な効果があります。
自分の貢献が分かる喜びと、チームで競い合う楽しさ
漠然と「環境に良いことをしよう」と思うだけでは、なかなか行動は長続きしません。しかし、SPOBYのように自分の行動が具体的なCO2削減量(グラム単位!)として表示されると、「これだけ貢献できたんだ!」という達成感が得られ、次の行動へのモチベーションに繋がります。これは行動経済学でいう「ナッジ(nudge)」、つまり、人々がより良い選択を自発的に取れるように、そっと後押しする仕掛けの一つと言えるでしょう。

さらに、チームでスコアを競い合うゲーミフィケーションの要素は、仲間意識や競争心といった人間の自然な感情を刺激し、楽しみながら継続することを可能にします。環境省も「COOL CHOICE」のような国民運動を通じて、賢い選択によるライフスタイルの変革を呼びかけていますが、SPOBYのようなアプリは、その具体的な実践ツールとして機能します。

(上記はイメージです。実際のSPOBYアプリ画面などを引用し、出典を明記してください。) Alt属性例: SPOBYアプリにマイボトルを登録し、CO2削減貢献度を測定するイメージ。
健康増進にもつながる一石二鳥の効果
エコな移動手段である徒歩や自転車の利用は、CO2削減だけでなく、私たちの健康増進にも大きく貢献します。日々の運動不足解消や生活習慣病予防にも繋がり、まさに一石二鳥の効果が期待できるのです。これは、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成にも貢献する重要な側面です。
私たちも始められる!SPOBYが示す「自分ごと」としての脱炭素
SPOBYのようなアプリは、脱炭素やSDGsといった大きな目標を、私たち一人ひとりの「自分ごと」として捉え直すきっかけを与えてくれます。

個人として: まずはSPOBYのようなアプリに関心を持ち、もし自分の所属する企業や自治体が導入していれば、積極的に活用してみましょう。導入されていなくても、日常生活の中で、
近距離の移動は徒歩や自転車を選ぶ。
公共交通機関を積極的に利用する。
マイボトルやマイバッグを持ち歩く。
家庭ごみの分別を徹底し、リサイクルできるものは資源として出す。
省エネ家電を選ぶ、こまめに電気を消すなど、エネルギー消費を抑える。 といった行動を意識するだけでも、立派な脱炭素アクションです。
企業・自治体の担当者として: 従業員や住民の環境意識を高め、具体的な行動を促すツールとして、SPOBYのようなサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。初期導入費約20万円、月額利用料が従業員1人あたり350~500円というコストも、得られる効果を考えれば十分に検討の価値があるかもしれません。
まとめ:テクノロジーで加速する、一人ひとりのSDGsアクション
スタジオスポビーの「SPOBY」は、個人の善意や努力を「見える化」することで、脱炭素社会への参加をより楽しく、より効果的にする可能性を示しています。環境問題への取り組みは、我慢や義務感だけでは長続きしません。SPOBYのようなテクノロジーを活用し、日々の行動が具体的な貢献に繋がることを実感できれば、より多くの人が自発的に、そして継続的にSDGsアクションに取り組むようになるでしょう。

2050年カーボンニュートラルの達成は壮大な目標ですが、その道のりは、私たち一人ひとりの小さな選択と行動の積み重ねによって築かれます。スタートアップ企業が生み出す新しいアイデアとテクノロジーが、その歩みを力強く後押ししてくれることに、大きな期待を寄せたいと思います。

さらに詳しく知るために

スタジオスポビー公式サイト: (企業の公式サイトURLを記載)
環境省「COOL CHOICE」ウェブサイト: https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/
環境省「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」: (関連ページがあればURLを記載)

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この記事を書いた人

ハワイ州立大学大学院でMDGs(SDGsの前進)を学び、アカデミックな分野でサステナビリティの研究に没頭し、帰国後、革製品ブランド”ラファエロ”を0から立ち上げ、1日で1つの商品を3000個ほど売り上げるなど事業面でも圧倒的な実績を出しつつ実践的な脱炭素経営やサステナブル経営に取り組み、ファッション業界として史上初の「外務省ジャパンSDGsアワード」を受賞した唯一の企業となる(外務大臣賞)。さらに前年には「環境省グッドライフアワード環境と福祉賞」も受賞しており2024年現在で外務省と環境省のSDGsアワードをW受賞した日本で5社のみの一般企業となる。

これらの実績は、夫婦2名の資本金100万円の株式会社FrankPRで取り組んできたことで、資金不足・人材不足でもサステナビリティや脱炭素活動は事業活動と両立できることを実証する。

アカデミックと実践的な経営の両方のサステナビリティの知識を併せ持つ稀有な現役経営者として社会のサステナビリティや脱炭素を支援する発信をしていく。

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