こんな人にオススメです
- 日本の食料自給率や安全保障に関心がある方
- 外国資本による土地買収のニュースを見て、漠然とした不安を感じている方
- 環境問題と経済活動のバランスについて知りたい方
- 私たちの未来のために、今何ができるのかを考えたい方
「去年1年で、東京ドーム81個分の森林と37個分の農地が、外国の法人や個人に買われました」——。
こんなニュースを聞いて、皆さんはどう感じますか?「なんだか大変そうだけど、自分の生活とは関係ないかな?」と思うかもしれません。でも実はこれ、私たちの食卓に並ぶ食べ物や、毎日使っている水、そして子どもたちの未来に深く関わる、とても大切なお話なんです。今回はこの問題を、SDGs(持続可能な開発目標)の視点から一緒に考えていきましょう。
最新のSDGsニュース:外国資本による日本の森林・農地買収
【出典】 産経新聞:外国に買われる森林、昨年は東京ドーム81個分も… / 産経新聞:外国に買われた日本の農地 昨年だけでも東京ドーム37個分…
SDGsニュースの要約
昨年1年間で、外国の法人や個人によって日本の森林382ヘクタール(東京ドーム約81個分)と農地175.3ヘクタール(東京ドーム約37個分)が買収されたことが明らかになりました。特に農地の買収面積は前年の2倍に増加しており、国籍別では中国が最多となっています。森林買収の主な目的は「資産としての保有」や「太陽光発電所の設置」で、特に北海道で多くの買収が確認されています。一方、農地は法律上「営農目的」でなければ取得できませんが、国は2023年9月以前の正確な取得状況を把握しきれていないのが現状です。政府は、買収された面積は日本の私有林や農地全体から見ればごく僅か(それぞれ0.07%、0.004%)だとしていますが、日本の土地取得に関する外資規制はほぼなく、実態把握が追いついていないという課題も浮き彫りになっています。
SDGsニュースのポイント
このニュースのポイントを、もう少し詳しく見てみましょう。
- 年間で東京ドーム118個分以上が海外へ: 昨年だけで森林と農地を合わせると、少なくとも東京ドーム118個分以上の広大な土地が外国資本の手に渡りました。2006年からの累計では、森林だけでも東京ドーム2200個分を超えています。
- 森林は「資産」と「太陽光」目的: 買収された森林の多くは、中国や香港の個人などが「資産」として保有する目的です。また、シンガポールの法人が太陽光発電所を設置するために広大な土地(93ヘクタール)を取得したケースもありました。
- 農地買収は中国が最多: 農地を買収した外国人や法人の国籍を見ると、中国が最も多くなっています。これは、私たちの「食」の基盤が、知らず知らずのうちに海外の影響を受けやすくなっている可能性を示唆しています。
- 規制がほぼない日本の現状: 日本は、外国資本が土地を取得することに対する法的な規制がほとんどありません。一度買収された土地の利用目的が、後から太陽光パネル設置などに変更されることも問題なく可能だといいます。
- 政府も実態を完全には把握できず: 森林は2005年以前、農地は2023年9月以前の正確なデータがなく、「実態は分からない」部分があるのが現状です。問題が顕在化してからでは手遅れになる可能性があります。
SDGsニュースを考察
この問題をSDGsの視点で見ると、単なる土地の売買ではなく、私たちの国の持続可能性そのものに関わる重要な課題であることがわかります。
食料・水・環境という「安全保障」の問題
まず、農地が外国資本に買われることは、SDGs2「飢餓をゼロに」 で掲げる「食料安全保障」の根幹を揺るがしかねません。日本の食料自給率が低い中で、その基盤である農地の所有権が海外に渡ることは、将来的に私たちの食卓に大きな影響を与える可能性があります。
また、森林は水を蓄え、浄化する「緑のダム」としての役割を担っています。これはSDGs6「安全な水とトイレを世界中に」 にも繋がる重要な機能です。森林の所有者が変わることで、水源地の管理が適切に行われなくなるリスクも考えられます。さらに、SDGs15「陸の豊かさも守ろう」 が目指す生物多様性の保全にも影響が出るでしょう。
「再生可能エネルギー」のジレンマ
太陽光発電は、カーボンニュートラルを目指す上で重要な再生可能エネルギーの一つです(SDGs7)。しかし、そのために豊かな森林を伐採してしまっては、元も子もありません。これはまさに、SDGsの目標間で起こりうる「トレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)」の典型的な例です。環境を守るための技術が、別の環境破壊を引き起こすことのないよう、慎重なルール作りが求められます。
私たちにできること
この大きな問題に対して、私たち一人ひとりに何ができるのでしょうか。無力だと感じる必要はありません。小さな行動の積み重ねが、大きな変化を生み出します。
- 関心を持ち、声を届ける: まずは、この問題に関心を持つことが第一歩です。ニュースを追いかけ、選挙の際には各政党や候補者がこの問題についてどう考えているかを判断基準の一つにすることも、私たちの意思を政治に届ける大切なアクションです。
- 国産の木材や農産物を選ぶ: 国内の農林業を応援することは、間接的に日本の土地を守ることに繋がります。買い物をする際に、少しだけ産地を意識してみませんか?これは、誰にでもできるサステナブル消費であり、エシカル消費の実践です。
- 地域の土地に関わる: 地域の森林保全活動に参加したり、市民農園で野菜を育ててみたり。自分たちが暮らす土地との関わりを深めることも、その価値を再認識し、守っていく意識に繋がります。
日本の豊かな自然や食文化は、先人たちが守り抜いてきた大切な宝物です。その価値を正しく理解し、未来の世代へと引き継いでいく責任が、今の私たちにはあります。このニュースをきっかけに、日本の土地の未来について、少し考えてみませんか?
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